暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 黄昏のノクターン  2022/12
23話 真昼の情景
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
のリゼちゃんは沸騰する前に常温で爆発するんだからね!」
「レイてめぇそれフォローになってねェぞ!?」
「………バレちゃった?」
「『バレちゃった?』じゃねェ! そんなことよりアタイのニオを渡せ! ニオが切れた!!」
「ぁ、あの、私をニコチンが切れたみたいに言わないで下さい!? ………って、ヒヨリさん苦しいです離れてくだむぐぅ!?」


 ………まぁ、平和が一番なんだろうな。クーネが戻る前はこんな漫才を興じる姿さえ想像できないくらいに落ち込んでいたのだから奇跡的な回復だろう。ヒヨリも楽しそうにしていることだし、俺から言うことはとくにないな。


「………ゴンドラに乗るんじゃなかったのか?」
「ううん、どうせ今のところは観光目的だったから大丈夫。順番も後ろの人達に譲っちゃったし」


 ふと気になって聞いてはみたのだが、ゴンドラにこだわっていたわけではないということか。あの《ジョー》と呼ばれていたプレイヤーがリゼルの逆鱗に触れてしまったのが発端なのだろう。今回は前線メンバーの特権という不文律の成立を挫いただけで儲けとしよう。そう思うにも、俺の価値観では到底無理があるのだが、無駄な働きをしたと思うよりは気が紛れる。とはいえ、これもかなり痩せ我慢なので話題を転換することにする。


「今のところは、というと、何か目的があるのか?」
「当面はレベリングって言いたいところだけど、川で戦闘なんて怖いから悩んでるんだ………攻略本にも危ないって書いてあったし………」
「リンさん、クーネさん達もお誘いしたら如何です?」


 クーネ達は下の階層では思うように経験値を得られなくなってきたからこそ最前線であるこの層まで来たのだろう。だとすれば、既にレベル自体はボス攻略に参加しているプレイヤーと比較しても上位に食い込むだけのものを持っているはずだ。
 これから向かう目的地、船大工であろうNPCとのクエストが素材収集系であることを予想するならば、クーネ達に同行してもらった方が戦力的にも人員的にも余裕が出るだろう。彼女達の船も調達出来れば尚喜ばしい。


「そうだな。来てもらおう」
「何の話なの?」
「いや、船を用立ててくれるかも知れないNPCの家まで行くだけだ。もし暇だったら来ないか?」
「船………狩りが安全になって、安定して………コルの節約も………」
「………クーネさん?」


 何かの琴線に触れたのか、思考の切れ端のような意味深長な呟きを零すクーネだが、ティルネルの声には発条仕掛けの人形めいた動きで首を向ける。鬼気迫るというか、凄まじい凄味を見た気がした。


「リン君、ティルネルさん、私達も行く! 絶対に行くわ!!」


 ………かくして、クーネと仲間達の同伴が決定した。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ