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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第204話 BoB頂上決戦
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田誌乃の心の中にも、
あの男
(
・・・
)
も、
あの銃
(
・・・
)
もない。
あの銃、
黒星
(
ヘイシン
)
五十一式は、バラバラに分解されており、最早銃の形状すら保てていない。そして、悪夢と共に目の前に現れる
あの男
(
・・・
)
。
その 額に黒い穴を開け、目からも口からも、血の涙を流しているかの様な表情の全ても、温もりと共に、消してくれた。闇を払った先にある、光の中へと。
それらを再び認識すると、ゆっくりと、ゆっくりと、シノンは 傍らにある自分の分身とも呼べる銃に手を添えた。
――……へカートは、まだ生きている。スコープが壊れただけで、まだ生きている。だったら、自分も何か出来る事がある筈。
シノンは心の中で強く思った。サブアームであるグロッグも、1発も使用していないから、弾数もまるで問題ない。
だが、相手は死神と死銃。
その強さ。
それは、キリトとリュウキもよく知っている。……今は強気のままに、言葉を発し、攻撃をしているのだが、その力だけは認めざるを得ない程なのだ。
シノンにとっては、悔しい事だが リュウキにも圧倒された以上、スコープの使えない状態ででは、遠距離戦であっても現時点では敵わないだろう事は判る。
あの地獄
(
SAO
)
をくぐり抜けてきた力は本物。……その性質は最悪でも、力は本物なのだから。
――……そんな相手に、一体自分になにが出来る? まんまと容易く背後を取られ、撃たれる瞬間まで、何も出来なかった自分が?
シノンは必死に考えた。
リュウキは、この崖下。そして、キリトは更に離れた場所で戦っている。
2人ともが仲間だ。シノンに出来た、初めて出来た心から信頼する事が出来る仲間。確かに彼の方に関しては、心に深くとどまっているが、今の戦いの場でh、その2人のどちらかを選ぶ事など、出来る筈もない。2人とも 援護を果たしてこその、バックアップだから。
「何か……、何か……!」
シノンは、考える。そして、浮かんできた言葉があった。
あの洞窟での事だ。リュウキが死神についてを 話していた時の事だ。
『
神出鬼没
(
a-Phantom
)
。とも呼ばれていたな。死神と言う男は』
シノンの頭に浮かんだ《Phantom》という言葉。それは幻影。実態を持たないという意味だ。
2人を同時に助ける為に、どうするのが最適であり、最善か。
まだ、生きているものの、スコープが壊れ、今満足に遠距離射撃が出来ないへカートと、攻撃力に乏しいグロッグで何が出来るのか。
「っっ!!」
シノンは、この時 思いついた。弾丸を撃つ事は出来ない。撃てば、超接近している2人にも当たる可能性が出てくる。
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