アインクラッド編
龍皇の遺産
龍皇の遺産 01
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はそれ。 アマリのディオ・モルティーギにかかれば砕けないものはないし、僕の雪丸に切り裂けないものはないので、問題にはならなかった。
確かにスヴァローグは強力で凶悪だったけど、総合的に見れば戦いやすい相手と言う印象が強い。
まあ、なんとかなるでしょ。
そう楽観的に思考を閉じた僕は、平然とした調子のまま扉を開け放った。
扉の奥。
プレイヤーが扉を開けたのを感知して、部屋に明かりが灯る。
それでもなお暗い部屋はかなり広く、僕が記憶しているボス部屋の広さとほぼ同じだ。 薄暗い部屋の中央には、恐らく話しに出ていた剣だろう。 スヴァローグが吐いていた火炎を彷彿とさせる紅蓮の大剣があった。
「行きますか」
「おー」
僕の気合の入っていない声に続いて、やる気が感じられないアマリの緩い声。
僕たちが部屋の中央に進むと、床に突き刺さった大剣が鳴動して、やがて仄かに発光する。 それが合図だったのか、何もない宙空に粗いポリゴンの塊が幾つも出現し、次第に形を持っていく。 ドラゴンのフォルムを粗方完成させたところで地の底から響くような重低音の雄叫び。 そして、それは完成した。
「あっはー、やっぱり大きいですねー」
明らかに場違いな緩い声のアマリに苦笑いを浮かべつつ、僕はそれを見上げる。
ゴツゴツとした鱗に覆われた巨体。 鋭い爪を有する四肢。 恐ろしく長い尾。 曲刀に匹敵するほど鋭く発達した牙。 招かれざる客を睥睨する瞳。
Svarog Emperor Dragon the Shadow。 龍皇の影。
その名に相応しい、漆黒の龍がそこにいた。
「じゃあ殺るよ」
「じゃあ殺るです」
同時に漏れた僕とアマリの声。 見るまでもなく、僕たちの表情は愉悦に歪んでいるだろう。
さあ、殺し合いの時間だ。
先手を打ったのはスヴァローグ。
獰猛な一鳴きの直後、その長い尾を叩きつけるように振り下ろす。
直撃を受ければ冗談ですまないダメージを被る一撃ではあるけど、縦方向に振り下ろされる尾に当たるほど僕たちは間抜けじゃない。 余裕を持って左右に散開した僕たちは、スヴァローグの一撃で揺れる地面を踏みしめながら、攻撃直後の無防備な獲物に肉薄した。
敏捷値に殆どのレベルアップボーナスを注ぎ込んでいる僕の方が、当然のように先にスヴァローグを射程に捉えた。
駆けながら雪丸の切っ先を後方に流し、スヴァローグの巨体の真下で急制動。 そこで雪丸の刀身が妖しい紅色に染まる。
「ーーっ!」
無言の気合を弾けさせ、雪丸をとてつもない速度で振り上げた。
単発重攻撃《血桜》
薙刀のソードスキルの中でも
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