暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第70話 ジオ戦前の休息
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いで十分。……と言うより、これ以上してしまえば、今後にものすごく影響が出てしまう。本人に合っただけで、顔面が燃え上がってしまう、と自分でもわかるから。







 かなみは あの時の事を思い返した。





『え、えと……ユーリさんに、伝えたい事、あるんです』

 志津香もミリもいなくなり、かなみとユーリだけになる。ユーリは ミリに言われた通り、かなみの言葉を訊いて頷いた。戦っている時の凛々しい姿も良い、……そして、今の仄かに見せる笑顔、それも 同じだ。

『……ジオ、そして 次はリーザスです』
『ああ、そうだな。目先の驚異があるから、楽観的な事は言えない。……が、着実に近づいているよ』

 かなみはゆっくりと頷いた。そして、はっきりとユーリの顔を見る。

『あの日。……アイスの町で 私を ユーリさんは助けてくれました』
『………』

 ユーリは、それを訊いて、色々と言おうと思った。
 例えば、『あの時 かなみを見つけたのはヒトミだ』とか『気にすることはない』とかだ。

 だけど、いつも以上に 真剣なかなみの顔をみたら、黙って最後まで聴かなければならない、と思ったから黙っていたのだ。ミリが態々伝えた事も大きいだろう。

『リーザスを、見捨ててしまった。と自責の念に駆られていた私に、優しくしてくれて。……本当に大変な事態だって言うのに、ユーリさんは 迷う事なく 言ってくれました。『助ける』と。……その、私の事を 『大切な友人』とも言ってくれました』

 かなみの目には 僅かにだが光る物が集まりつつあった。

『……私が今 ここにこうしていられるのは、生きていられるのは ユーリさんがいてくれたから。……ユーリさんが助けてくれから、です。私は……本当に、本当に、ありがとうございました』

 光は形となり、雫となり かなみの目から流れ落ちる。
 それを黙って聞いていたユーリは、ゆっくりと手を伸ばし 指先で涙を拭った。

『……助ける。何度でも言うよ。オレは 大切な人を守る為なら、命を賭ける事も惜しまない。かなみは、それ程 大切な人だ』

 ユーリの言葉を訊いて かなみは ぐすっ、と涙を啜った。

 そして、ユーリの手をぎゅっと握り…… 頭をユーリの胸元に預ける。

『う……うぅ……』
『泣くな。まだ やらなければならない事は多い。涙はまだ、取っておこう。全てを終わらせた後に』
『っ…… は、はい』

 かなみは、ゆっくりと頭を上げると、ユーリの右手を持ったまま、愛おしそうに自分の頬に少しだけ、少しの時間だけ 添えて、離した。

『……想いを、言葉にするのは と、とても難しかったです。でも 良かったです。改めて 言えて、本当に……』
『……ああ。貰ったよ。正
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