暁 〜小説投稿サイト〜
龍が如く‐未来想う者たち‐
秋山 駿
第二章 交わる想い
第一話 叶わぬ再会
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ーをし、極道の娘だと明かして表舞台から去った身でもある。
少なかったがファンもいたアイドル時代を知る者と鉢合わせない様に、こうして身を隠し偽って生きていた。

全ては今日、桐生と再会する為に。


「待たせたね」


そこに現れたのは、田宮だった。
遥はサングラスを取り、一礼する。


「お久しぶりです、田宮さん」
「澤村さん、買い出しを頼んで悪かった。重かっただろう?」
「いえ。おじさんに久しぶりに会えるんですから、これくらい平気です」


そう言いなが軽々と袋を持ち上げて見せる姿に田宮は微笑み、その袋を受け取った。


「さぁ、行こうか」


遥がアイドルの引退を宣言し、桐生が瀕死の重傷を負ったあの日から、数ヶ月経っていた。

大怪我の桐生を偶然発見した男のお陰で、病院に運び込まれ何とか命を繋ぐ。
ここからどうしようと途方に暮れていた時に出会ったのが、病院まで運んでくれた男の元上司だと言う田宮だった。

だがある事情により、桐生と遥は離ればなれになってしまっていた。
しかし、それも今日まで。
桐生意識は依然として戻っていないが、また会えるのだ。
また会える日を1人で待ち続け今日という日を迎え、胸が高鳴る。
早く会いたいという気持ちで、いっぱいだった。


「ちょっと待てや」


背後からした声に、少女の希望は砕かれる。


「何だ、君は」
「田宮隆造、だな?東城会の者だ」


東城会という言葉に、遥は思わず肩を震わせる。
狙いは男が言わなくてもわかる。
桐生一馬の事だ。
嫌な予感を感じ、田宮の手を引いて走り出そうとする。
だが読まれていたのか、行く手は既に男の手下によって阻まれていた。


「ちょっと、付き合えや」


全てを狂わせたバンダナの男、喜瀬は怪しく笑っていた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ