§67 船頭多くして船山に登る
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さて、組織を作るならばまず必要なものは名前だろう。名前はどんなのが良いだろう。
「まぁルビは必須だよね」
「るび……?」
かわいらしく小首を傾げて、大きな瞳を真ん丸に。きっとマンガとかなら盛大なハテナマークが頭に浮かぶことだろう。しかも美少女。いともたやすく行われるあざとい行為。あざとく見えないのは恵那の中身が野生児だからか。
「恵那さん、真面目に考えたら負けですよ。どうせマスターの妄言なんですから。っていうか今のマスターの表情的に絶対ロクなこと考えてませんよ。そもそもダウンジングマシンとかいう名前を人につけるようなマスターですよ???」
「そっか。それもそうだね」
「君達酷くない!?」
一応、これでも必死に名前を考えているというのにその扱いは酷いと思う。名は体を表すというし、組織名なんて重要なはずだ。
「泣くぞ? すぐ泣くぞ? 絶対泣くぞ!?」
「マスターが泣けば神殺しを泣かせたキツネとして歴史に残りますかね?」
「じゃあ私は神殺しを泣かせた巫女?」
「お義兄様を泣かせる……そんな栄誉ある行動を……」
いうに事欠いてこのキツネと女子高生は何を言い出すのだろうか。そして羅濠教主の方向性がヤバい。
「この鬼、悪魔、ひとでなしどもがー!!」
「いや恵那さんはともかく私キツネで人じゃないですし」
知ってるよ! そんなことが言いたいんじゃないやい! 喉まで出かかった言葉を飲み込む。なんか言ったら負けな気がした。
「エルちゃんそういうわけじゃないんじゃないかな……?」
「恵那ぁああ!!!」
本当に味方は恵那だけだ。
「あーよしよし……マジ泣きする程の事なのかな?」
恵那に泣きつく黎斗をよそに、エルが呆れた視線を向ける。
「ベイビーズソウルテンサウザンド。世紀末ははミレニアム。エロゲの歴史ここにあり、ってやつですね。マスターいい加減老成したらどうですか?」
「……何それ」
胡乱な目を向ける恵那を意に介さず、エルは自慢げにしっぽを振る。
「私は学のあるキツネなのです! マスターが日本のことわざについて須佐之男命様と議論しているのを聞いていたのです! なんでも幼い頃の性癖は大人になっても治らない、とかそんな感じの!」
「そんな諺が。流石お義兄様。この羅濠。自らの浅学の至らなさに嘆くばかりであること、お許しください……」
いや、そんなマジレスやめてください。ノリで言っただけでそんなことわざないんです。すごい弁解したいけど、となりの視線が黎斗に口を出させることを許さない。
「れーとさん……」
ドヤ顔するエル、冷めた視線を向ける恵那。二人をしり目に冷や
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