第五十話 忍び寄る影
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デモンズタワー東塔。
アベル達が足を踏み入れた途端、そこは激戦区と化した。
どこからか現れたのか強力な魔物達がアベル達を取り囲んでいた。
「ピエール、イオラをホークマンを中心に。ドラきち、君はアームライオンにマヌーサを。スラりんはスクルト、メッキーは凍える吹雪を全体に」
アベルの指示通りピエールの放ったイオラがホークマンの群れを吹き飛ばし、ドラきちのマヌーサがアームライオンの視界を封じ、スラりんのスクルトがアベル達を覆い、メッキーの凍える吹雪が周囲の魔物を纏めて凍りつかせ、動きを止めた魔物をアベルのバギクロスが一網打尽にした。
その後もアベル達は探索を続けていたが、戦いの手が休まることは殆どなかった。
魔物の一体一体が強いという事もあるが、何より数が多い。アベル達も強さという点では負けてはいなかったが、ただでさえメンバーを分けてしまっているのに、量での戦いになると苦戦を強いられてしまうのが厄介だった。
この先に待ち受けているであろう強大な存在を考えればここで無駄な魔力を消費するわけにもいかないが、ビアンカの事を考える以上迅速な敵の殲滅を優先させなくてはならず、結果として数度の戦闘でさえかなりの魔力を消費せざるを得ないのが現状だった。
そしてアベル達の行く手を阻むのは何も魔物達だけではない。
デモンズタワーの内部には、床から飛び出す槍や、突如壁から放たれてくる矢といった罠が至る所に仕掛けられていた。
魔物との休みない激戦の連続に、罠に注意しなくてはいけないこの状況でアベル達の心身は確実に消耗していた。
だが、それでも彼らは進んだ。ビアンカを必ず取り戻すという想いのもと。決して諦めず。
もう何度目になるか数えるのも馬鹿らしくなるくらいの戦闘の後、アベルはふと気付いた。
父が母を助ける為に世界中を旅していたのも、自分達が今こうしてビアンカを助ける為に向かっているのも同じ事だと。
そして父と自分はどこまでも親子だという事を。
「ベギラゴン!」
マーリンが後ろの魔物の群れをベギラゴンで一掃してくれた。
私はマーリンに感謝しつつ前方の魔物の群れをマヒャドで凍りつかせる。
「皆、怪我ない?」
「……大丈夫だ」
「儂も特に負傷しておりませんな」
「僕も大丈夫だよ」
「ホイミンちゃんと、マーリンとジョーは大丈夫と。ゲレゲレは?」
「ガウッ」
大丈夫だと言うかのようにゲレゲレは小さく吠えた。
「よし。それじゃあ次に進もうか」
私がそう言って、廊下を歩き出した瞬間だった。
「痛!」
いきなり足に激痛が走った。
足を見てみると靴の底に穴が空いていて、そこからたくさん血が流れてた。
「ミレイちゃん、大丈夫!?」
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