歯車を止めて
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ぞれの人生があって、理由があって、未来がある。
不当に手折られなければ良いなあ〜って。
ただそれだけの話なんだけどねえ。
…………なんだろう?
誰かの強い意思を感じる。誰かが介入してる。
『 』が作ろうとしている仕組みを、外側から変えようとしている。
誰?
判らない。何の気配もしない。
なのに、きしきしと軋む音がする。
気のせいかと思っていた微かな異音が、少しずつ大きな音になっていく。
……誰?
判らない。何も見えない。
だけど、確かに変化した。
変わった。……変えられる。
『 』が敷いた道は、まだ変えられる。
なら……私はまだ、この世界を壊さなくて済むのね。
数多の生命が上げる悲鳴を聴かなくて済むのね。
「知るもんか。そんなもの」
……泣かないで、私。彼はまだ……
「やかましい! 私に関わるな! お前なんか消えちまえ!! お前のせいでコイツは……っ!」
……ごめんなさい……。
「ちくしょうっ! バカばっかりだ! どこもかしこもバカしかいない! なんでだよ……どうして! クロスツェルが死ななきゃいけないんだよ!! なんの為に、私が……ちくしょう!!」
……ごめんなさい……。
「もう、本当に消えてくれよ! お前が……お前の存在があるから『 』が世界に干渉できるんだろう!? ならもう、消滅してくれよ! 頼むから! この上、アイツにまで何かあったら……っ」
アイツ……
ああ……黒の悪魔ベゼドラ。
かつて私が封じた、私を憎む者。
私を殺してくれるかも知れなかった、稀なる力を持つ者の一人。
「! ベゼドラに手を出すな! 関わるな!!」
……解っているわ。
彼の力ではもう、私を殺せない。
また『 』と繋がってしまったから。
だから、私から遠ざけたのでしょう?
「嫌なんだよ。誰かが死ぬのも、傷付くのも! ベゼドラを傷付けるな! 絶対に殺すな!!」
……私には『 』を止められない。
『 』を止められるだけの力を持つ存在は、遠い昔に消滅しているから。
『 』の言動と存在が、その事実を証明しているから。
『 』と対等以上になれる存在は、きっともう、どの世界にも現れない。
私にもそんな力は無い。
だから『 』が彼に接触するのを、私では止められないわ。
「役立たず!」
……ごめんなさい……。
「……ベゼドラに閉じ込められた地下室は暑くも寒くもなかった。なのに、暖かい筈のこの空間は、陽光に満ちてるこの場所は、物凄く、寒い。寒くて冷たくて震えが止まらない。もう嫌だ。もう、嫌。こんな場所は嫌いだ! 誰か私を殺して。『 』を止めて。止め
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ