歯車を止めて
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そういう意味だよ」
『女神アリアとされる女性の真意が解らない』
彼女が異教徒の前に現れた結果、アリア信仰への改宗希望者が増加した。
彼女に会ったと証言する全員が元の神を捨て、女神アリアを讃え始めた。
単独で、だ。
異教団体を解体するとか一緒に改宗とか、そういう流れにはなってない。
そうでなければ、朝からあんな形で私達を襲う異教徒なんかいない筈。
となると、彼女は異教団体そのものに用は無かった。
あくまで個人としての彼らと、対話するなりなんなりしたんだろう。
女神アリアの支持者を増やそうとしている、とは、到底思えないし。
仮にそうなら、彼らとアリア信仰を同時に利用したほうが断然速い筈。
世界各地を点々と飛び回って、ちまちまと手間暇を掛けて。
彼女はいったい何がしたい?
彼らに何を吹き込んだ?
まさかここに来て、改宗希望者が新種の毒草とかで幻覚を見てました……なんてオチはないよね。
自分で考えておいてなんだけど、そんな限定的すぎる幻覚を、世界中で、ほぼ同時期に見るとか。本当にないなぁ。
「我々の女神は、イタズラに心を惑わすような存在じゃないと思いたいね」
「そうだねぇ」
あらゆるものを愛し護ったとされる、創造と救世と慈愛の女神アリア。
もしも本物なら、今の彼女の願いはどこにあるんだろう。
彼女は、何を求めているのだろう。
「直接会って話してみたいものだ……なんて言ったら、信仰者に不遜だって怒られるかな?」
「いや、君もアリア信仰の重役だからね? コルダ大司教」
「主神アリア様じゃなくて、女神アリアではないかとされている彼女の話。一部の猛信者はもう、絶対に本物のアリア様だと決めてかかってるでしょ」
「ああ。本物か偽者か。それが原因で派閥割れとかになったら嫌だよねえ。外も内もぐっちゃぐちゃで収拾つかなくなりそう」
「醜悪だね」
「そういうものだよ」
「違いない」
本物でも偽者でも、あまり良い影響が無いように思うのは私達だけかな。
歳を重ねると余計な心配ばかりして不要な頭痛を抱えちゃうから困るよ。
彼女のたった一言があれば、全部綺麗にまとまるのにねぇ。
「とりあえず、外で起きた事件を枢機卿に報告しよう。武力衝突の可能性はなくなっても、アリアシエル強襲の可能性は残ってるからね。気を付けて、くらいは言っておかないと」
「ついでに、私達の帰り道の安全も祈願してもらえたら嬉しいね」
タグラハン大司教と並んで室外へと出れば。
アルスエルナとは比較にならない数の参拝者が、礼拝堂へ向かって密度の高い列をいくつも作っていた。
ざっと見では顔の判別もできない人集り。
ここに居る者にも居ない者にもそれ
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