似た者同士〜
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てくれればいいよ」
「すみません、何からなにまで・・・あの、あたし、シリカっていいます」
そう言えば名乗ってなかった。俺は右手を差し出しながら言う。
「俺はコウハ。よろしくね」
俺達は握手を交わす。地図を取りだし、見ながら森を出る。
「ところで・・・さっきのもう一人の黒い人は・・・」
「ああ・・・あれ、俺の兄貴でね。用事があったから先に行かせたんだよ」
「お兄さんなんですか・・・」
「っと、着いたよ」
三十五層の主街区は所謂農村といった感じで、結構治安は良さそうだった。辺りを見渡していると、何人かのプレイヤーが駆け寄ってきた。どうやらシリカは中層クラスでは有名人らしく、パーティーによく誘われるみたいだが・・・
「あ、あの・・・お話はありがたいんですけど・・・」
シリカがちらりとこちらを見て言う。
「・・・しばらくこの人とパーティーを組むことになったので・・・」
プレイヤー達は不満な声を上げ・・・その矛先はやっぱりこちらに向いた。
「おい、あんた・・・」
シリカを熱心に勧誘していた男が口を開く。
「見ない顔だけど、抜け駆けはやめてもらいたいな。俺らはずっと前からこの子に声かけてるんだぜ」
・・・まあ、俺にも否があるので、機嫌を損ねないように外面を作る。
「いや、すみません。少々事情がありまして・・・安心して下さい、少しの間だけです」
プレイヤー達の怪訝な視線が集まる。・・・当然だよねぇ・・・
「あの、あたしから頼んだんです。すみませんっ!」
シリカが頭を深々と下げ、俺のコートの袖を引っ張る。
「・・・す、すみません。迷惑かけちゃって」
「あはは、気にしない気にしない。・・・人気なんだね」
「・・・そんなことないです。マスコット代わりに誘われてるだけなんです、きっと。それなのに・・・あたしいい気になっちゃって・・・一人で森を歩いて・・・あんなことに・・・」
「・・・分かるよ」
「え・・・?」
「俺もそうだったから・・・」
天の御遣いだとか、戦乱を平和に導いたとか・・・平和に身を任せていた結果が・・・明命達の死だった。
「コウハさん・・・?」
「あ・・・ごめんごめん。ところでシリカのホームはここかな?」
俺は重い空気を払う為に話題を変える。
「あ、いえ・・・本当は七層なんですが、今はここに・・・コウハさんは?」
「この間五十層に移ってね。部屋はそこそこ広いし・・・本当はサ・・・いや、ちょっとした事情で綺麗なとこがよかったんだけど、大体物価が高くて高くて・・・あ、ごめん」
思わず愚痴ってしまったので謝ったら、シリカは笑う。
「ま
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