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家に帰ると
第四章
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「家にいなくて携帯に連絡がつかなくて」
「そんなの普通ないですから」
「私も女房にいつもそうですよ」
 お巡りさんは自分自身のことを話した。
「それこそ」
「そういうものですよね」
「はい、電話したら今買いもの中だからかけるなって言われたり」
「そういうものですよね」
「何でも女の子とデートしてるとか」
「奥さんがですか」
「実は女房若い女の子と浮気してまして」
 お巡りさんはさらっとヘビーな自分の家庭事情を話した。
「その娘の赤ちゃんを産みたいっていつも言ってますよ」
「女の人は女の子の赤ちゃん産めないですよ」
 太洸はお巡りさんに極めて冷静に返した。
「流石にそれは」
「いや、私の子供は二人産んだから今度は女の子と赤ちゃん作りたいって言って」
「それで浮気してですか」
「男は私だけだからいいだろとか言ってまして」
「民事にしてもあまりない話ですね」
「まあ私も浮気相手が男じゃないならいいかって思いまして」
 自分の妻が女の子の子供を産んでもというのだ、それが生物学的に可能であることであるかどうかはともかくとして。
「それでなんです」
「奥さんを許されてるんですか」
「はい、そうなんです」
「離婚は」
「お互いにするつもりはないです」
 そうだというのだ。
「私も男同士なら浮気をしていいと言われています」
「織田信長さんみたいに」
「まあ私はそっちの趣味はないので」
「浮気はですね」
「しないです、まあとにかく」
 お巡りさんは太洸との話を終えてあらためてだ、俊介に問うた。
「事件ですか」
「だからさっきからそう言ってるじゃないですか」
 俊介だけ必死である。
「早く何とかして下さい」
「それじゃあですね」 
「家に入って下さい」
 俊介は自分からお巡りさんに言った。
「それで調べて下さい」
「いえ、まずは被害届を」
 お巡りさんは俊介に現実から返した。
「家宅捜査もそう簡単に出来ないですよ」
「そんなのすぐでしょ」
「令状がないと。これから署に連絡しますから」
「そんな悠長なこと言っていいんですか」
「そう言われましても」 
 お巡りさんはここでも現実を出す。
「私としましても」
「そんなことでいいんですか」
「まあ落ち着いて」
「落ち着いていられますか、そもそも」
 俊介だけが熱くなる、そうして暴れる素振りさえ見せて太洸に制止されたりもしていた。そうした騒ぎの中で。
 家の前に一台のタクシーが停まった、そしてその中から。
 三人の男女と女の子が出て来た、そのうえで。
 騒ぐ俊介を観てだ、焼きそばを思わせるパーマの中年女性が彼に問うた。
「あんた何してんの?」
「お袋、無事だったのか」
「無事かって何よ」
「何でお巡りさんがいるんだ?
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