第四章
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「トムね、見付けてくれたのね」
「ホームズさんがね」
「だからシャーロック=ホームズは」
「はじめまして、ミセス」
微笑んでだ、ホームズは言って来た。
「私がシャーロック=ホームズです」
「本当におられたの」
「ベーカー街に」
「嘘みたい」
「嘘ではありません、私はいつもいます」
「ベーカー街に」
「そして皆さんと同じ世界に」
そうだというのだ。
「いるのです」
「そうだったのですね」
「ではこの猫はお返しします」
「有り難うございます、では探偵として見付けて頂いたので」
母は自分から言った。
「お礼をさせて頂きます」
「報酬ですね」
「はい、これから払わせて頂きます」
「有り難うございます、それでは」
「それでどれ位でしょうか」
その報酬の額はというのだ。
「一体」
「これ位になりますが」
「あれっ、それ位でいいんですか?」
その報酬の額をホームズ本人から聞いてだ、母は少し驚いた。そのうえで彼にこう言葉を返したのだった。
「そんな少しで」
「はい、私としては」
「安いですね」
「すぐに終わった仕事なので」
「だからですか」
「それに私はネロ=ウルフさんと違います」
安楽椅子型で肥満した探偵である、美食家でとりわけビールが好きだ。
「お金には困りません」
「そうなんですか」
「はい、ですから」
だからだというのだ。
「こちらについてはです」
「構わないと」
「そうなのです、ですから」
それでというのだ。
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