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ある筈がないが
第四章
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だ、そのうえでだった。
 ベルゼブブは家臣達にだ、こうも言った。
「これから私の別荘に来るか」
「このローマにある」
「そこにですか」
「そうだ、そなた達とは別の家臣達がいる」
 当然悪魔のだ、人の姿になってそこにいるのだ。
「そこで宴としよう」
「これよりですか」
「その別荘で」
「この街の美酒と馳走でな」
「人の料理ですか」
「そして人の酒ですか」
「こちらも中々いいものだ」
 悪魔が普段食べる食事とは違うがだ、それでもというのだ。
「それも楽しむか」
「旦那様の尾言葉でしたら」
「是非」
「では相伴するのだ」
 その馳走にというのだ。
「そしてそちらも楽しもう」
「わかりました、では」
「これよりですね」
「そちらに行って」
「ではな」
 ベルゼブブは悠然とだ、教皇達に背を向けてだった。家臣達をローマの自分の別荘に案内する為に足を進めた。家臣達は彼の後について行ってその場を後にした。教皇の間では彼等に気付くことなく宴が続いていた。腐敗を極めたその宴が。


ある筈がないが   完


                            2015・7・20
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