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竜のもうひとつの瞳
第四十一話
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。もー、しょうがないなぁ〜。

 思わず孫市さんと二人してニヤニヤと笑ってやれば、アニキが赤い顔をしてまた碇を振り回してくる。
動揺しまくっているそんな攻撃に当たるほど私も孫市さんも弱くは無い。
アニキったら必死になって碇を振り回すから、それがまた可笑しくて仕方が無い。

 「駄目だよ〜、女の人には優しくしなきゃ。鶴姫ちゃんも優しくされる方がいいって」

 「うっ、うううう煩ぇ!!!」

 いやぁ〜、本当にからかいがいのある人だなぁ。野郎共から好かれるのも分かるってもんだ。うんうん。

 「あ、そうだ。ねぇ、孫市さん。先代の孫市さんはお元気?」

 私の言葉に、孫市さんもアニキも表情が翳る。アニキに至っては攻撃を止めて孫市さんを少し心配そうに見ているし。

 「……先代は死んだ。死したから私が孫市を継いだ。……先代の知り合いか?」

 「知り合いというほどでもないけど……随分昔にここに来た時に一度会ったことがあったから」

 そうか……亡くなったんだ。まぁ、こんな御時世だし仕方がないと言えば仕方が無いけど……ちょっと残念かも。

 三河に鶴姫ちゃんがいると聞き、早速三河へと船出したわけだけども、アニキは何だかんだで嬉しそうだ。
そんなアニキを皆でニヤニヤと笑いながら観察して、野郎共とアニキの恋の行く末を話したりとかして、すっかり野郎共と仲良くなりました。

 「アニキってさぁ、コレいたの? 今まで」

 野郎共に小指を立てて見せれば、野郎共は苦笑いをして首を横に振る。

 「アニキは基本的にそういうの疎いっすもん。
女よりお宝〜で来ちまったし、海賊やる前は姫若子なんて呼ばれるくらいに大人しかったし」

 「そうそう、アニキの姫若子時代はそこらの女より可愛かったからなぁ〜。
何でこの人が男なんだろうって泣いたくらいだし」

 「今じゃすっかり見る影もねぇけどなぁ」

 姫若子ねぇ……確かに色白で顔も綺麗だし、きちんと着物を着せて化粧でもすれば今でもそれなりになっちゃう気もするな。

 そうかそうか、初カノってわけか。そりゃ、手の出し方も分からんだろうねぇ。不器用な振る舞いをするのも分かるよ。

 でも、鶴姫ちゃんもアニキの贈り物がどういうものか分かってくれただろうし……
これで二人の関係が少しでも良い方向に向かってくれると良いんだけどね。

 本当、人の恋の話って面白いね。無責任なことどんどん言えるから。
そうだ、奥州に着いたら孫市さんに頼んで、恋がどうなったのか報告してもらおうっと。
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