第三章
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「うち等望ちゃんのお家に行ったこともあるやん」
「ああ、去年な」
「他にも何度か行ってるけど」
「それでまた来たいんやな」
「そや、それでな」
「それで?」
「望ちゃんの近所に八条学園に通ってる子おるやろ」
かなりダイレクトにだ、千恵美は望に問うた、
「男の子で」
「ああ、糸やん」
「糸やん?」
「糸田っていうから糸やんや」
名前からだ、望は答えた。
「糸田真矢っていうねん」
「ふうん、そやねんな」
「小学校の時一緒でや」
「中学校からかいな」
「あっちに行ってんや」
八条学園にというのだ。
「そやから千恵美ちゃん知らんかってんや、糸やん」
「それでどんな人なん?」
「ひょっとして千恵美ちゃん」
ここでだ、望は身を乗り出さんばかりで自分に尋ねてくる千恵美を見て気付いた。そのうえで笑って言った。
「糸やんのこと」
「昨日見掛けてな」
「そういうことか、わかったわ」
望は笑顔で頷いた、そしてだった。
望はその左手で自分の胸をどんと叩いて千恵美に言った。
「協力するで、そういうことやと」
「おおきに、ほな頼むわ」
「お礼はお好み焼き三枚や」
「何や、もの取るんかいな」
「それで手打ったるわ」
望は実際に千恵美にお好み焼き三枚をおごってもらってからそれから彼女に全力で協力してだった、その彼真矢のことを彼女が知っている限り教えて。
亜沙美と一緒に二人の仲を取り持った、千恵美は真矢とはすんなりと交際まで辿り着けた。
だがそこからだった、そもそも恋愛というものは交際が実ってハッピーエンドにはならない。むしろ物語はそこからはじまる。
それでだ、その真矢との交際はというと。
「うち今度真矢君に手料理ご馳走するねん」
「へえ、手料理かいな」
「あんたの」
亜沙美と望が食堂できつねうどんを食べつつ笑顔で言う彼女の言葉を聞いて声をあげた。
「またそれは」
「ええ流れやん」
「そや、お好み焼きな」
作るのはそれだというのだ。
「二人でお好み焼きパーティーや」
「何でご馳走でお好み焼きやねん」
「そこはスイーツとかやろ」
「いや、真矢君お好み焼き好きやさかい」
それで、というのだ。
「そやからな」
「お好み焼きか」
「それを作るんかいな」
「サイダーとコーラも用意してな」
お好み焼きに合う炭水化物もというのだ。
「楽しくやるわ」
「そうするんか」
「今度は」
「まあお好み焼きは置いておいて」
「仲良くしてるんやな」
「そやで、真矢君めっちゃええ人やさかい」
きつねうどんを食べながらだ、千恵美は二人にこうも言った。
「楽しくやってるで、前は難波でデートしたし」
「難波か」
「あそこ行ったんかいな」
「自由軒のカレー食べて金龍ラー
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