第七章〜おつかいを頼まれて〜
第三十三話
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ようとしたわけだ。
私なんか豊臣にとって縁もゆかりもないわけだし、捨て駒にするには丁度いいし。
……キスくらいで絆されたのが癪に障るわ。押し倒すくらいしてやれば良かった、畜生。
「稲葉山城の件は聞き及んでおる。たった十六人で城を攻め落としたとか。その中に女子もいたとか」
あー……そこまで噂になってんのか。こりゃやっぱ、しばらく帰れないわ。
「前置きは良いです。私は一体何をすればいいのですか」
「詳細を話す前に、そなたが本当に使い物になるかどうかを試させてもらう。
誰ぞ、使者殿から奪った武器を持って参れ」
その言葉に瞬時に動いた足軽さんを見て、私は何だか軍隊のど真ん中に来たようなそんな気持ちになった。
何ていうか、凄く違和感があるのよね。この人が現れてから。兵達も誰も口を開かないし、主の言葉があるまでは眉一つ動かそうともしない。
動けば静々と着いて行くけれど、それ以外は動きもしないし。
伊達を基準に物事考えるから良くないのかもしれないけれど、どうも違和感が抜けないというか。
この違和感が何なのかがいまひとつ分からないんだけども。
ややあって武器を持ってきた足軽に合わせて、牢番が鍵を開ける。毛利に出るようにと促されて、武器をしっかりと渡された。
もしかして、戦って実力を見るとかそういうアレ?
何かこういう展開、デジャ・ヴ過ぎてもうお腹いっぱいなんだけど……。
「では、町に行くぞ」
「は? はい」
あれ、戦うんじゃないんだ。
何となく毒気を抜かれてしまったような思いを抱きつつ、とりあえず毛利の後を付いて町へと向かうことになった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ