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東方喪戦苦【狂】
弐話 再び踏み出した男
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狂夜は苦笑する。
真面目な話から一転、たわいない話。

しかし、思い出話もろくにさせてくれないのか、
どこからか流れてくるスピーカーの少し割れたような音が「ピンポンパンポン」と古典的な音を鳴らした後、ゆったりと喋る。


「えー、この度は獄の湯、大焼炙店をご利用頂き誠に、ありがとうございます。えー、お客様にお呼び出しを申し上げます。黒崎 骸様、黒崎 骸様、獄王様がお待ちです。只今扉を開きますので、それを通り、獄王様の元に足を運ばれますよう、お願い申し上げます」

もう一度古典的な音が鳴り、どうやら放送は終わったようだ。
きょとんと骸が首をかしげる。

「????」

「お前有名だな」
狂夜は茶化すように微笑し、呟く。

瞬間、目の前に人かま一人通れる程度の青白く光る扉が現れた。

「ちょっと兄さん行ってみて下さい」

そう言って、骸は扉に向かって疑問符を浮かべて扉を見ていた狂夜を、脈略もなく突き飛ばす。
「は!?ってあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

束の間の浮遊感、何が起こったのかわからず、いつの間に次元が歪んだようなおかしな空間に立っていた。

後から現れた骸を、口を尖らせて睨んだ。

「何故突き飛ばした」

「いや、いつかのお返しですよ。そんな事よりなんか居ますよ」
骸は少しイタズラっぽく笑うが、そんなことも束の間、目の前にいた、かなり巨大な筋肉隆々の二人の男に視線が釘付けになる。

「お主達が骸!」
片方が低い声で叫ぶ

「阿形よ!、骸は一人だぞ!」
もう片方が同じく低い声でツッコミを入れる。
どうやら阿形と言われた方は頭が悪いようだ。

「そうであったな!吽形。骸、この先に獄王が居る、通してほしくば、我々を退けてみせよ!」
阿形と呼ばれていた方の大男がそう言うと、巨大な門が現れた。

「我は全ての始まり、阿形!」
赤い身体、黒い目の大男が叫ぶ

それに続き、
「我は全ての終わり、吽形!」
黒い身体、青い目の大男も反復するように叫ぶ。

大男は二人揃って低い、大きな声で喋る。
狂夜は顔を顰めて耳に指を突っ込んで塞いでいたが状況を読み込んだように耳から指を離す。

「丁度、二対二相手に取って不足はない!」
吽形と名乗る方が二人を凝視し、叫ぶ。

「ですってよ、兄さん」
骸はイタズラっぽい顔を消してはいなかったようだ。

狂夜は軽く笑って言った。
「おう、久々に暴れるか!お前と一緒にな!」

「吽形よ、我が骸と相手致す、お主はそこの男と対峙せい!」
阿形が骸の前に立ち塞がり言うと吽形は狂夜の前に立ち塞がり青い目を狂夜に睨ませて言った。

「承知致した!」

利害が一致したようで狂夜は吽形を標的とし、新月家特有の紅い目で睨
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