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クルタ
第五章

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「だからね」
「お金か」
「そうよ、しかも動きやすいから」
「それでずっと服買ってないんだな」
「この通り動きやすい服よ」 
 馬に乗ってここまで来た時の服だ、尚馬達はしっかりと泊めている。その分のお金も支払っているのだ。
「ずっとね」
「乙女な感じは無縁か」
「だからここでね」
「クルタ買ってか」
「そうした服も欲しいの。どうかしら」
「そうだな、安いしな」 
 値段を見れそうでだ、ラスルも言った。
「いいか」
「ええ、じゃあね」
「どれにするんだ」
 クルタはクルタでもとだ、兄は妹に問うた。
「それで」
「そうね、見たところ」
 店のクルタ達を見つつだ、タハミーネはラスルに答えた。
「これ?」
「それか」
「ええ、この服ね」 
 赤くて折り畳まれているが模様が見えるそのクルタを見ての言葉だ。
「これにするわ」
「ロジムはどうするんだ?」
 ズボンの方はというのだ。
「あと帽子な」
「一式買っていいのね」
「お金の許す限りな」
 あくまでその範囲内でというのだ。
「それでいいさ」
「そこはシビアね」
「だから人生辛いんだよ」
「唐辛子みたいに」
「だからお金もな」
 このこともというのだ。
「ある分しか買えないんだよ」
「それ以上のものとなると」
「ずっと言ってるよな」
「借金ね」
「そうだよ、それをすることになるさ」
「そういうことね、じゃあお金のある限り」
 その範囲内でとだ、タハミーネも答えた。
「買わせてもらうわ」
「それじゃあな」
 こう話してだった、タハミーネはお店のおじさんと話をした、そしてこう言ったのだった。
「この赤いクルタとね」
「ロジムだね」
「それと帽子だけれど」
「一式買うんだね」
「予算はね」
 お金のことをだ、タハミーネは話した。
「これだけよ」
「ぎりぎりだね」
 おじさんは予算を聞いて述べた。
「それだと」
「ぎりぎりなの」
「そう、どうするんだ?」
「そうね、ぎりぎりならね」
 それならとだ、タハミーネは答えた。
「いいかしら」
「ここから先はまけないよ」
 おじさんは強い声で言った。
「絶対にね」
「絶対に?」
「ビタ一文な」
 それこそという返事だった。
「まけないよ」
「そう、じゃあもうそれでいいわ」
「買うんだね」
「一式ね」
 クルタもロジムも帽子もとだ、タハミーネは答えた。こうしてだった。
 タハミーネは一式買った、そしてだった。
 品を全て手に取ってお金を払ってからだった、兄に言った。
「これでね」
「帰るか、村に」
「そうしましょう、ただね」
「今度は何だ?もうお金ないだろ」
「もうお金かかることは言わないわ」
 タハミーネもこのことは保障した。
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