第三十一話
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て言葉になりませんよ。
「龍興の部屋はまだ遠いんですか?」
「いや、すぐそこだよ」
「じゃあ、さっさと縛り上げて終わりにしましょうよ。
そろそろ片を付けないと、窮鼠猫を噛む、なんて状況にもなりかねないですし」
追い詰めてこちらの有利にするのは手だけれど、追い詰め過ぎるのはいけない。
追い詰められると時に予測もしていなかったようなとんでもない力を発揮したりするもんだから、意外と侮れないのよね。
私もそれで何回か失敗したことがあったし、過去にそれが原因で輝宗様を人質に取られて殺さざるを得なくなったという事件もあった。
後にそれが思い出したくも無い大戦に繋がることになるんだけど、まぁ……それは今は関係ない話か。
そういう経験があるからこそ、あまり追い詰め過ぎたくはないのよね。
「それもそうだ。なら、この宴もそろそろ終わりにするとしようか」
……おいおい、宴って言ったよねこの人。戦じゃなくて単なる茶番のつもりだったのか、竹中さん的には。
まぁ、最初の目的からすればそんなもんか。まともに戦仕掛けようって感じじゃなかったしね。
龍興の部屋の戸に手を掛けたところで、何者かが勢いよく戸の内側から刺し貫こうとしてきた。
私達は咄嗟に避けたから怪我は無かったけれど、運悪くその場に居合わせた敵さんの一人が顔面を刺し貫かれてしまう。
ありゃ〜……ご愁傷様だ。っていうか、地味にグロいぞこの光景。
「ちぃっ! 邪魔臭ぇ!! 全員どきやがれぃ!!」
出てきたのは門のところで人のお尻をしっかりと触ってきた下衆野郎だ。竹中さんも恨みがあるという、例の飛弾守。
「……小夜君、少しの間だけこの男を引き付けておいてはもらえないかな」
「了解です。なるべく早く来て下さいよ」
不愉快そうに眉を顰める竹中さんに、私は軽く返事をしておく。
「それだけの腕があるなら平気だろう」
「そうじゃなくて」
切り掛かって来た飛弾守の身体に薄く剣の傷をつけてやる。
こいつ、思っていたけどあんまり強くは無い。普通の人なら太刀打ち出来るかもだけど、婆娑羅者ではないから私でも十分だ。
「私が殺しちゃう前に、早く来て下さいよ。恨みは深いんでしょう?」
竹中さんの答えを聞く前に、私は縁側から庭へと躍り出た。
挑発するように刀を振るってやっているもんだから、奴も顔を真っ赤にして私を追ってくる。
「女の癖に生意気な!」
「はっ、女一人真っ当に相手に出来ないぼんくらが何を一丁前に。そういうのはね、一太刀くらい浴びせてから言うものよ!」
背中に向かって斜めに切り払ってやり、振り向いた瞬間に足払いを掛けてその場に転がしてやる。
起き上がったところで顎に向
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