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八神家の養父切嗣
八話:雌伏の時
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。フェイトにとってなのはは特別な存在なのだ。
 そんな存在を傷つけるように指示をしたことに良心が痛むが話を続ける。

「約束して欲しいことが1つある」
「はい……」
「友達や自分を信頼してくれる人は決して裏切ってはいけない」

 一体全体どの口が言っているのだろうかと自嘲したくなるが想いは本物だ。
 自分はすぐ隣にいる弟子や自分を信頼する全ての人を裏切るような行為を行っている。
 だからこそ、目の前にいる少女には自分のようにはなって欲しくない。
 身を焦がす裏切りの罪は自分のような汚い大人が背負えばいいだけなのだ。

「それができるなら私は君の行動に何も制限しないことを約束するよ。できるかね?」
「はい。でも……本当にその1つだけでいいんでしょうか」
「これはね、とても簡単でいて、とても難しいことなんだ。いずれ君にも分かる」
「……分かりました。必ず守ります」

 力強い返事にこの少女ならきっと大丈夫だろうと胸をなでおろし話を切り上げる。
 部屋から出て行く少女達に続いてクロノも出て行くが立ち止まり父親そっくりの目をグレアムに向けてくる。

「提督、もうお聞き及びかもしれませんが、先程自分達がロストロギア闇の書の捜索担当に決定しました」
「……そうか。君が(・・)、か」

 運命というものは因縁を背負う者を舞台に立たせねば満足できない程悪辣なのか。
 そう心の中で吐き出すが表には出ることがない。
 これでクロノとリンディと敵対することが決定したわけだが動揺はない。
 相手の実力は折り紙付きだが、逆に言えばほぼ知り尽くしていると言ってもいい。
 情報戦で後れを取ることはまずない。

「思うところはあるかもしれんが無理はするなよ。……言えた義理ではないがな」
「大丈夫です。窮持にこそ冷静さが最大の友、提督の教え通りです」
「そうだったな……」
「では」

 それだけ言い残して出て行こうとするクロノ。
 その後ろ姿に少しだけ危機感を覚えて言葉を投げかける。

「だが、時として感情を優先させることがいいこともある」
「グレアム提督?」
「常に冷静で居続けるのはただの機械だ。人の身で機械になることがないようにな」

 少しの間どういったことを言いたかったのかと立ち止まり考える。
 そして納得のいった解が見つかり振り返ってクロノは微笑む。

「それこそ大丈夫です。僕の周りには機械になりたくてもそれを許してくれる人は居ませんので」
「……そうだな。とにかく頑張りなさい。私も微力ながら力になろう」
「はい、ありがとうございます」

 今度こそ部屋から出て行くクロノの背中が見えなくなってから椅子に座り込む。
 彼は大丈夫だ。もし、心が折れそうなことがあっても周りの人間が支えてく
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