暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはVivid 〜己が最強を目指して〜
第3話 「気さくな師範代」
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くるといい」
確かにわざわざ道場に足を運んだのに手合わせせずに帰るのは愚の骨頂だ。
……いや、これは言い過ぎか。ミカヤさんとの話はタメになることも多いし、話すだけでも決して損にはならないんだから。
などと考えながらも僕は移動して道着に着替え始める。普段道着を着ることはないのだが、ここに出向いた際には必ずといっていいほど身に着けている。そのため着替えで困ることはない。
「そういえばキリヤくん」
「はい」
「前々から思ってはいたんだが……君は実に良い体をしているね」
「え……な、何で覗いてるんですか!?」
普通覗きっていうのは男性が女性に対して行うことでしょう。覗きって行為はやっちゃいけないことだから普通という言葉を使っちゃいけない気もするけど。
「君に興味があるからだが?」
「確かに興味のない人間を覗いたりしないでしょうけど、覗いていい理由にはなりませんからね。というか、いつまで覗いてるつもりですか。着替えたいんで離れてほしいんですけど!」
「……ダメか?」
「ダメに決まってるでしょう!」
可愛い仕草と声で言われて一瞬グラっときてしまったけど、どうにか正しい言葉を口にすることが出来た。これ以上はダメだと思ったのか、ミカヤさんは悪気のない顔でそそくさと退散する。ただフェイントの可能性があるので僕はしばらく様子を窺う。
…………どうやらもう覗かないみたいだな。
まったく……ミカヤさんの茶目っ気には時折困らされる。別にだらしない体をしているわけじゃないけど、上だけならまだしも下も着替えるんだからダメに決まってるじゃないか。それくらいミカヤさんだって分かるだろうに。
「なあキリヤくん」
「……何ですか?」
「そう警戒しないでくれ。今日はもう覗いたりしないから」
……今日は?
それは今日に限ってはもうしないというだけで今後も機会があればするって意味なのだろうか。それともただ単に言葉の綾なのか……とりあえず少なくとも今日は何もないだろうから今は考えないようにしよう。考えたら泥沼に嵌りそうだ。
「最近何か面白いことはあったかい?」
「それは面白い話をしろってことですか? 僕はその手の職業に就いてるわけじゃないんですけど」
「そういう意味では言っていないよ。君と会うのは久しぶりだから剣を交えるまでは世間話でもしようかと思っただけさ」
本当にそうなのだろうか……いや、ミカヤさんは茶目っ気のある人だけど悪い人ではない。それにあまり知り合いを疑うのもどうかと思うし、これ以上は思考しないでおこう。
「基本的に毎日変わらない日々を送ってますからね。そうそう面白いことなんてありませんよ……ただ」
「うん? 何かあったのかい?」
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