第3章 リーザス陥落
第69話 敵は人類最強
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そして、この通路の先にて、2人の魔人が話をしていた。ノスとアイゼルである。
「……使徒達がいなくなった事で、なにやらご迷惑を掛けたみたいですね。ノス」
アイゼルがゆっくりとした仕草のままに、ノスへと話しかけた。
「いいや。……瑣末事よ。北に向けた使徒の事、だな。 どうした?」
「2人とも、呼び戻しました。そろそろジオで決戦があるようですので。……人間達側にも、随分と骨のある者がいる様ですから」
アイゼルの言葉を訊いて、雰囲気が変わるノス。
「ほほぅ。……お前がそこまで言う者がいるというのか」
これまで、アイゼルは何度も 人間に対しての称賛、賛辞の言葉を口に出しているが、それはそこまでの敬意を払っている訳ではない。
魔人の力と人間の力の差は 圧倒的であり 例え 善戦をした所で、たかがしれていると言うものだ。それに、人間同士の戦いでは 確かに 熱の篭った代物が見れるかもしれない。だが、アイゼルは違った。己の配下、使徒を全て出す、と言っているのだ。
「ええ。……今度は私もでます」
「ほう……」
ノスは、アイゼルが出ると言う言葉には さほど驚きはなかった。使徒の全てを出す、と言った時点で 自らが動くであろう事は容易に想像がついていたからだ。
「問題はありますか?」
「くく…… いや、ないな」
外見や性格、そして能力から アイゼルと言う魔人、妖術魔人と呼べるこの男は、直接戦闘を厭う印象が必然的に付きまとうものだ。……だが、本来魔人と言う存在は血を嗜む。
主である魔王から授けられた血が、その破壊衝動をも引き継がせるのだろう。
ノスは、その程度にしか 感じていなかった。
「……………」
アイゼルが 戦闘に出る、と決意したのは 血の疼きからではない。破壊の衝動、魔人としての本能からではない。
全ては、あの時に 得体の知れない存在と出会ったからだ。その存在を再び確かめる為に、アイゼルは戦場に立とうとしているのだ。……美しいものを見る為に、と言う目的も多少なりとも含まれているが、根幹はその部分なのだ。
そして、ノスに今回の事は告げていない。隠している、という訳ではなく、どう説明をすれば良いか、その適切な言葉が出てこなかったのだ。
「北部も放っておいて構うまい。ヘルマンの勝ち負けは どうでも良い。……混乱が続く状態こそ、望ましい事だ」
「……ですね。では 私も好きにさせて頂きましょう」
「だが、そうだな。……リーザスの聖武具。持ち主がこちらへ向かっているとか。……奪え」
ノスの言葉を訊いて、アイゼルは察した。 あの武具を狙っていたのはサテラだ。なのに、ノスが自分自身にそれを指示する、と言う事が意味するのは。
「……
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