暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第69話 敵は人類最強
[8/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話




 そして、この通路の先にて、2人の魔人が話をしていた。ノスとアイゼルである。

「……使徒達がいなくなった事で、なにやらご迷惑を掛けたみたいですね。ノス」

 アイゼルがゆっくりとした仕草のままに、ノスへと話しかけた。

「いいや。……瑣末事よ。北に向けた使徒の事、だな。 どうした?」
「2人とも、呼び戻しました。そろそろジオで決戦があるようですので。……人間達側にも、随分と骨のある者がいる様ですから」

 アイゼルの言葉を訊いて、雰囲気が変わるノス。

「ほほぅ。……お前がそこまで言う者がいるというのか」

 これまで、アイゼルは何度も 人間に対しての称賛、賛辞の言葉を口に出しているが、それはそこまでの敬意を払っている訳ではない。

 魔人の力と人間の力の差は 圧倒的であり 例え 善戦をした所で、たかがしれていると言うものだ。それに、人間同士の戦いでは 確かに 熱の篭った代物が見れるかもしれない。だが、アイゼルは違った。己の配下、使徒を全て出す、と言っているのだ。

「ええ。……今度は私もでます」
「ほう……」

 ノスは、アイゼルが出ると言う言葉には さほど驚きはなかった。使徒の全てを出す、と言った時点で 自らが動くであろう事は容易に想像がついていたからだ。

「問題はありますか?」
「くく…… いや、ないな」

 外見や性格、そして能力から アイゼルと言う魔人、妖術魔人と呼べるこの男は、直接戦闘を厭う印象が必然的に付きまとうものだ。……だが、本来魔人と言う存在は血を嗜む。
 主である魔王から授けられた血が、その破壊衝動をも引き継がせるのだろう。

 ノスは、その程度にしか 感じていなかった。

「……………」

 アイゼルが 戦闘に出る、と決意したのは 血の疼きからではない。破壊の衝動、魔人としての本能からではない。

 全ては、あの時に 得体の知れない存在と出会ったからだ。その存在を再び確かめる為に、アイゼルは戦場に立とうとしているのだ。……美しいものを見る為に、と言う目的も多少なりとも含まれているが、根幹はその部分なのだ。

 そして、ノスに今回の事は告げていない。隠している、という訳ではなく、どう説明をすれば良いか、その適切な言葉が出てこなかったのだ。

「北部も放っておいて構うまい。ヘルマンの勝ち負けは どうでも良い。……混乱が続く状態こそ、望ましい事だ」
「……ですね。では 私も好きにさせて頂きましょう」
「だが、そうだな。……リーザスの聖武具。持ち主がこちらへ向かっているとか。……奪え」

 ノスの言葉を訊いて、アイゼルは察した。 あの武具を狙っていたのはサテラだ。なのに、ノスが自分自身にそれを指示する、と言う事が意味するのは。

「……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ