暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第69話 敵は人類最強
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、魔人戦争で、闘神都市を幾つも落としたじゃないか。《魔人レキシントン》と共に、さ?」

 その話を訊いて、ノスの眉が少しだけ 上へと持ち上がった。

「ほほう…… 博識なお嬢さんだ。600年程前に、そんな事もありましたかな」

 だが、その言葉には全く動じた様子はない。ただただ 面白いものを見た、程度にしか感じていなかったようだ。
 ハンティもそれは十分すぎる程判っており、続けた。

「人間達の間じゃ、魔人っていえばノス。……そのくらいのスターだよ。あんたは」

 ハンティは軽く笑みを浮かべてそういい、そして 『けどねぇ』と、軽い調子のまま、唇の端を釣り上げた。

「判んないのは、そんな魔人サマが、パットンにくっついて、何を狙ってるのか、って話さ」
「………………」

 言葉に僅かながらにつまるノス。だが、それでも動じた様子は見えない。ただ、間を溜めている程度にしか感じられない。

「まさか、バカッ正直に、ヘルマンに手を貸して、人間界を混乱させよう、とか。そんなんじゃあないんだろう?」

 ハンティの視線は更に鋭くなった。
 元々、ノス程の力の持ち主であれば、そんな回りくどい真似をしなくとも、人間界に混乱など 簡単にできるだろう。……今は二分されているから、公には動けない。と言う理由があるかもしれないが、それでも もっと他に効率よく、やりようは有る筈だ。

「ふふ……さて。敵の敵は、とも申します。今後を考え、時期皇帝陛下と繋がる事は、無益ではありますまい」
「パットンは……あいつは………」

 鋭くなっていた筈のハンティの表情が、何処か苦痛を耐える様になっていた。眉根を潜めたハンティを見て、嘲る様に口ひげを揺らせた。

「……おやおや、中々にお守りは大変なようだ」
「……何処の家庭にでもある話さ」

 軽く、肩を竦め、その黒髪を僅かに靡かせながら、ハンティは鼻を鳴らした。

「……ふっ 魔人だからって、好きにできるとは思わない事だね。死なないからって、邪魔されないって事はない」

 その頭巾に隠れたノスの瞳を射抜こうとするかの様に、ハンティは再び鋭く、いや 先ほどよりも更に鋭く不敵に、眼光を向けた。

「………く。くくくく」

 この時、ノスは初めて笑った。鼻で軽く笑う程度ではない。小さく低く、そして何よりも重い声で、確かに嗤ったのだ。それだけでも、威圧感を感じられる程に。

「……………」

 今度はハンティが言葉を噤んで、ノスを射抜く様に眼光を向ける。ノスは笑いをやめると同時に、ハンティに完全に向き直った。それでも、頭巾に隠れて表情は見えない。

「あまり、挑発しないでもらいたいものだな、森の娘よ。これでも……」

 ノスの目が、光った様な気がした。邪悪な、光。
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