第3章 リーザス陥落
第69話 敵は人類最強
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ある!!」
「………………」
ノスは、ため息を吐く。……無論、その口元も見る事が叶わなかったパットンは 苛立ちを更に募らせる事はなかった。
「貴様らが、貴族ども、リーザス人を扇動する。と言うから そちらの軍を薄くしたのだ! 責任は貴様がとれ!」
「………用がそれだけならば、失礼致します」
それは、了解と言う意味なのか、どうか判らないパットン。
「いいな! 私の命だ。忘れるな!!」
だからこそ、更に声を張り上げた。ノスの背中に、その低く野太い声を浴びせるが、憎々しささえ出ているその後ろ姿は、少しも揺るぎなかった。
完全に、ノスの姿が見えなくなった所で、パットンは、握りこぶしを作る。
「右を見ても、左を見ても、使えん……ッ くそっ!」
そんな時、だ。ふと 小脇にいた筈の小柄な影が消えていることに、パットンは気づいた。
「む……、ハンティ?」
そう、この場にいた筈の、ハンティの姿がなかったのだ。
あの表情には、何処か気になる所があった、と言う事を今更ながらに思い出すパットン。ハンティに限って、何かある訳もない、と想っているのだが、何か違和感が拭えなかった。
〜リーザス城・謁見の間 前通路〜
ノスは、大きな身体だと言うのに、殆ど足音も響かせず、まるで幽霊か? と思える程静かに、そして緩やかに移動をしていた。
今、思っているのは無脳なヘルマン側の頭についてだ。
「ふ……まったく、滅茶苦茶だな。あの皇子様も……」
勿論、素の自分を出したりはしていない。演技も、最後までバレずにつづけなくては意味がないからだ。……万が一、狙いがバレてしまえば計画に支障をきたす。人間ごとき、どうとでもなる事だが、ノスの狙いは、そんな生易しいものではない。力だけで 解決できる問題ではないのだ。
だからこそ、圧倒的な力を有すると言うのに ここまで回りくどい方法を取っているのだから。
その時だった。
「ああ、まったくそうだと思うよ。魔人さん」
「ぬ……!?」
―――いつの間にか、背後にハンティがいたのだ。まるで、最初からこの場所にいた。と言わんばかりに、佇んでいたのだ。
一切の気配を感じさせない不意打ち。流石のノスもその喉から、驚愕めいた反応が零れた。
「……これはこれは。まずい事を訊かれてしまいましたかな」
だが、悪びれる様子も全く見せない。そして、恐れる様子も同様にだ。ノスは軽く肩を揺らすだけだった。
「別に。あんたが表っツラ通りの性格だなんて、初めから信じてやしないさ。それにね」
ハンティの目つきが鋭くなる。……ノス、と言う名を知っているからだ。
「《魔人ノス》といやぁ、有名人だ。ちょいと昔にも
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