暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはVivid 〜己が最強を目指して〜
第1話 「始まり? を告げる朝」
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思った。いや、彼女だけじゃない。本戦に出場していた人間の多くは僕よりも強かった。
 そのため、去年も僕は大会には出場せずに観戦だけ行った。腕試しで出場してみてもよかったのだろうけど、去年までの腕前では都市本戦に上がれたかも怪しい。あの頃の僕はまだ自分の戦い方を確立できていなかったのだから。
 だけど今は僕なりの戦い方がある。
 それに今よりも高みを目指すためには、今自分が居る場所をきちんと知る必要もある。だから出場しないわけにはいかない。
 必ず本戦まで勝ち残って結果を残してみせる、なんて強気なことは言えない。……でもこれだけは言える。

「――僕は弱者だ」

 だから全ての試合において油断せずに勝ちに行く。最後の最後まで諦めたりしない、と。
 まあこんな風に思いはしても実行できるかは現状では不明だ。当たり前のことを当たり前にするのはとても難しいものだから。
 あれこれ考えながら走っているうちにミッドチルダ西部にある山林地帯に到着した。自然豊かな場所であり、また人気もほぼないと言えるので訓練を行うにはちょうどいい場所なのだ。
 シャドーボクシングのようなものなら街を走りながら行ってもいいだろうけど、さすがに刀剣の類はダメだろうし。

「……今日も頼むよ」

 その声に右腕に付けていた烏のように黒いブレスレット――あの子が僕のために用意してくれたアームドデバイス《シュヴァルツアイゼン》が反応を示し、淡青色の光が僕の体を包む。
 この淡い青色の光は僕の魔力だ。この世界の魔力の色は、それぞれ人によって異なる。けれど色合いが異なるだけでこれといって差があるわけではない。
 僕の体を包んでいた青光は、徐々に僕をジャージ姿から一般的に《バリアジャケット》と呼ばれる魔力で生成された防護服を着た状態に変化させる。
 もう少し詳しく説明するならば、黒のインナーに同色のズボン、白を基調としたジャケット。これらを騎士のように見えるデザインに変えたものだ。
 衣服が変化する時間は刹那と呼べるものに等しく、次の瞬間には黒い刀身を持つ日本刀が正面に出現する。それを僕は右手で掴むと、周囲の空気を斬り裂くように一度大きく振り払った。

「……よし」

 刀を正中線に構え目を閉じて深く息をする。全ての息を吐き終えた後、仮想の敵をイメージしながら開眼。それと同時に正面を一閃し、続けざまに二の太刀、三の太刀を放っていく。
 僕は誰かに剣を習ったわけではないので我流の剣だ。ただそれでも、4年間欠かさず振り続けていれば鋭い斬撃にもなる。無論、現段階で満足するつもりは毛頭ないが。
 脳内に浮かべた敵と戦闘を行い続ける。
 客観的に見れば耳に届くのは僕の息遣いに足音、それと空を斬り裂く刀の音だけだ。けれど集中して
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