第二章
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「今年の夏に体験留学があるんだ」
「体験留学ですか」
「そう、お隣の国にね」
「ニュージーランドですね」
すぐにだ、ビリーはこの国の名前を挙げた。
「うちの学校が毎年夏それをしているのは知ってました」
「そう、毎年ね」
「それでニュージーランドに行くんですよね」
「そうだよ、政府も援助してくれてね」
「いいですね、ニュージーランド」
何度も行っていて知っているからこその言葉だ。
「違う国にいる感じはあまりしないですけれど」
「そう思うね」
ここでだ、先生は。
その見事な金髪をセットさせた緑の目の逞しい学生時代はラグビーをしていることが見て取れる顔で言った。
「ところがね」
「ところが?」
「今年はニュージーランド以外の国にも行けるんだ」
「あの国以外ですか」
「そう、トンガにも行けるし」
オーストラリアと付き合いの深い国の一つだ、南洋の島国だ。
「そしてパプワニューギニアも」
「えっ、あの国も」
「我が国はあの国とも仲がいいじゃないか」
「まあそう言われると」
ビリーもだった、このことはだ。
否定出来なくてだ、こう言ったのだった。
「そうですね」
「それでどうだい?君はニュージーランドには何度か行ってるね」
「トンガにも一回行ったことがあります」
家族旅行でだ、小学校の時に言ったのだ。
「あそこもいいですね」
「じゃあパプワニューギニアは」
「ないです」
あっさりとだ、ビリーは先生に答えた。
「あの国は」
「じゃあどうだい?」
先生は笑ってビリーに言った。
「あの国に行くかい?」
「お金かからないですよね」
「政府が援助してくれる交換留学だからね」
夏休みの短期のだ。
「多少位だよ」
「これまで通りのですね」
「そうだよ、そちらの心配はしなくていいよ」
「じゃあ後は」
「どの国に行くかだよ」
それを選ぶだけだというのだ。
「君がね」
「そうですか、じゃあ」
少し考えてからだ、ビリーは先生に答えた。
「パプワニューギニア行ってみます」
「あの国だね」
「これまでずっとピンとこなくて馴染みのない国でしたけれど」
それでもというのだ。
「行ける機会があるなら」
「行くに限るね」
「はい、それじゃあ」
行くとだ、ビリーは決めた。家族に話しても交換留学のことはもう知っていてしかもお金の負担はあまりないのでだ。
「いいんじゃないか?」
「行ってきたら?」
両親はあっさりとだ、ビリーに言った。
「ニュージーランドやトンガもいいがな」
「あの国は行ったことがないでしょ」
「それならな」
「一度行ってみたら?」
「お土産買って来て」
ここでだ、妹は彼に笑って言って来た。
「あの国のね」
「パプワニューギニ
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