アインクラッド編
龍皇の遺産
クエストに出掛けよう03
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「フォラスくん」
アマリが僕を見て、そして笑う。
「難しく考えすぎですよ。 それはフォラスくんの悪い癖です」
「いや、でも……」
「好きな人が死んじゃって、手元に何も残らないなんて寂しいじゃないですか。 私はそんなの嫌ですよ」
「……危険があるって、分かっての?」
「あっはー、変なことを言うですねー。 危険? そんなのどうだっていいです」
緩い口調はいつものままに、それでもキッパリとアマリは言い切った。
それがなんでもないように。 危険なんてどうだっていいと。
いつもと同じだらしない笑顔。 僕の大好きな笑顔でアマリは言う。 それが当然のことのように、それが当たり前のように、アマリは言う。
「何を迷ってるですか? どうして迷うですか?」
「…………」
「情報がない? ボス戦がある? 死んじゃうかもしれない? あはっ、それってつまり、最っ高のシュチュエーションじゃないですか!」
焦点の定まらないアマリの瞳は、狂った熱を孕んでいる。
狂気。 あるいは狂喜。
きっと、この状況を心の底から楽しんでいるのだろう。 アマリはそういう狂人だ。
「立ち塞がるなら踏み砕く。 それが私たちですよ。 今更迷うことなんてないのです。 殺す。 全部殺す。 殺して殺して殺し尽くす。 難しく考える必要なんて皆無っ! 全部殺せばいいだけですよー」
どこで入ったのか定かではないけど、どうやらアマリの狂人スイッチが入ったらしい。
そんなアマリの狂人具合を目の当たりにして、僕は笑った。 そう。 笑ったのだ。
「ふふ、そうだね。 そうだったよ。 全部殺す。 目に映る全てを殺す。 それが僕たちだ」
なんのことはない。
狂人のアマリが大好きな僕もまた、ただの狂人なのだ。
自分が狂っていることは知っている。 アマリが狂っていることも知っている。 でも、それがどうした。
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