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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第203話 闇を封じる光
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見て、源治はゆっくりと声で告げた。

「赤羊は、《アナグラム》です。……死神、と呼ばれる者の性質は 私共も確認を、認識をしております。そこから、導き出された答え、です」

 綺堂は、目を瞑り……そして開いた。

「赤羊を英語にすると《レッドラム》。綴りは《REDRUM》。そして、それを逆さにして読めば……」

 源治の言葉を訊いて、玲奈は頭の中で、その綴りを読み直した。
 ゆっくりと、そして確実にローマ文字が動き 真実へと紡いでいく。

「《MURDER》。……殺、人」

 その綴りを、意味を言葉にしたその瞬間に、玲奈は両腕から背筋まで一気に総毛立った。

 《死》を意味する名を持つ者と《殺人》を意味する名を持つ者。

 その2人が、大切な人達に襲いかかっていると言うのだから。

「リュウ、キ……くん」

 玲奈の零れた声は 自分のものとは思えないほど震えていた。

 もう、姉の明日奈のことを、考えてられなくなってしまっていたのだ。

 それは、明日奈も同様であり、ユイも 言葉がそのデジタルの喉から、出てこなかったのだった。




















 場面は、少しだけ 時を遡り、GGOの世界へと戻る。

 だぁん と言う乾いた音が、夜の砂丘に木霊していた。

 漆黒、ぼろぼろのマントを纏い 不吉な蒼の瞳を持ち、その表情は髑髏の仮面に覆われており、見る事は出来ない。ただ、判るのは その表情、仮面に隠された表情の奥は笑っているであろう事。
 その引き金を引けば どうなるのか 知った上で 笑っているのだ。……人を殺す事が好きで好きでたまらない。 そんな狂気。

 撃たれる瞬間まで、シノンはそれを感じていた。

 心臓を握りつぶされる様な 感覚に見舞われ、動く事も出来なかった。再び弱い自分が出てしまった事に、最後の最後に、また 弱くなってしまった事に 悔いだけが残ってしまう。

 だが、それ(・・)は訪れなかった。

 銃撃や打撃、そして斬撃。様々な攻撃手段のある世界だが、一貫しているのは、攻撃を受ければ大なり小なり、ノックバックが発生すると言う事だ。如何に他の銃に比べたら口径の小さく威力も弱い《黒星(ヘイシン)》と言えど、それは例外じゃない。


 なのに、来なかった。……シノンは、この感覚を覚えている。そう、あの時(・・・)も……同じだったから。


「……言っただろ。オレの背中を、任せたんだ。そして キリトも救った。……シノンの背中は、オレに任せろ。オレが、守る」

 声が聞こえてきた。
 そう、心地よい声。始めて仲間を信じる事が出来た切欠でもあった、云わば自分の中の時計の針が進んだ始まりの声。


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