暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第203話 闇を封じる光
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綺堂は撮された映像を再び見た。
 今は、伏射姿勢を取っている故に、モニターには映っていなかった彼女(・・)の姿も映し出されている。

「……あの少女を狙う、とは」

 険しい表情のままに、呟いた。

 仮想世界、GGOの世界ででも、言える事だが、現実世界でも できる事は、多くはない。このGGOと言う世界は アメリカのメーカーであり、金銭の還元システムを搭載している故にか、そのセキュリティの厳重さは言うまでもない。日本サーバーだとしても、それは同じ事だ。

 アメリカと隼人との繋がりは 勿論ある。その才能を技能を世界的に認める切欠になった始まりが、その国から、だったからだ。

 隼人の生み出したプログラムを独自に改良し、セキュリティを万全の物にしようと進化させ続けてきたのだから、手強くて当然であり、そして、それは当然そうでなければならないだろう。

 信頼を失う訳にはいかないのは、どの国でも同じ事だから。

 だが、それでも 現実ででも、侵入を試みている。
 欲しい内容なそれ程多くはない。……今のアバターを動かしているのは、()なのか。契約プロバイダに紹介し、何処からダイブしているのかを調べ続けている。

 勿論、これは違法捜査と言っていい。渚もそれは承知の内だ。

 だが、ここまで大きくなり、死者も出ている状況。上の承認を待っていたら、全てが手遅れになってしまうかもしれないのだ。

 いつか、昔の映画でも言っていた言葉。

『事件は現場で起きている』と言う言葉。

 職場の机で、承認の印(許可書)をもらっている暇などないのだ。

 現場での迅速な対応が、防げるかもしれないから。……これからも続くかも知れない凶行を止められるかもしれないから。

 
 
 玲奈は、全てを訊いて、再びモニターを見た。
 源治の言う通り、まるで倒れている少女(厳密には伏射姿勢)の前に立つリュウキの名前を持つアバターがいる。今命の危険に晒されている少女を守ろうとしている。

 その為に、今現実の彼の身体に 兆候が現れたのだろう。

 一歩間違えれば、失われてしまうかもしれない。……その怖さはよく知っている。玲奈と明日奈、そして あの世界で過ごしてきた者であれば、誰もが知っている事だ。

 その緊張感が、不安がリュウキの身体に現われているんだ。

「これは、死神。この異形な剣、(シックル)を使って……。……。それに、キリトくんの方は、 刺剣(エストック)……? あ……あっ……」
『幹部の中に、いた。刺剣(エストック)の、達人が……』

 玲奈の呟き、そして 端末から聴こえてくる明日奈の声。

 2人ともが、見覚えが、あったのだ。記憶の底から、邪悪が蠢く様に湧き出してきたのだ。

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