暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第203話 闇を封じる光
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ガジン》が グリップ部分から引き抜かれ、落下。その落下している弾倉(マガジン)をリュウキが蹴り上げると、この場所から完全に離れていった。既に装填されていた1発の弾丸も、既に外へと弾き出されている。


 この一瞬で、死銃は《死んだ》のだ。

 
 そう、他にもある理由。それがこの行動だった。

 自分自身の震えを止めてくれた事のリュウキのシノンに対する礼、だった。

「ぁ……ぁぁ……」

 シノンは、この時へカートを持つ事も忘れて、思わず両手を顔に当てた。

 バラバラに分解される黒星(ヘイシン)。それは、過去から続く悪夢の象徴だ。だけど、この瞬間に、それは粉々に破壊された。


――お前の闇は、オレが封じよう。


 その言葉の通り。自らを縛り続けてきた闇を、封じる。いや、壊してくれた。リュウキと言う光が、自身の中の闇を払ってくれた。

 銃を見れば、銃を撃つ真似事でもされれば、あの男(・・・)あの銃(・・・)現れる。目の前が真っ暗になり、息もできずに、呑まれてしまい地獄の苦しみが続く。

 だが、その幻想の、悪夢の男と共に、目の前の彼が、リュウキが全てを壊してくれたんだ。 それを理解した瞬間、感情が抑えきれなかった。シノンの両の目から 大粒の涙がこぼれ落ちてしまっていた。

 あの《サイレント・アサシン》を破壊した時の様な感情は一切無い。

 ただただ、自分自身の悪夢を打ち払ってくれた事に対しての、言葉にならない。涙でしか表現する事が出来ない感謝しか……。



「なっ………!!」

 黒星(ヘイシン)、死銃が3つ程に分かれた瞬間に、漸く気を取り戻す事が出来た死神。驚きの表情をし続ける死神をみて、滑稽だと笑うのはリュウキだ。


――死神が鬼に負ける? 再び?


 それは、男の中ではあってはならない事。苦しみに、苦しませてから、絶望を味あわせる。それこそが、至高の喜びだったのだから。

「巫山戯るなぁ!」
「……どっちがだ!」

 素早くマントの内側に隠し持っていた短機関銃(スミオKP/-31)を取り出し、銃撃しようとするが、近接戦闘の間合い、この範囲内では、部が悪いのは、死神だ。
 リュウキは、向けられた銃身をナイフで弾き、その銃口の軌道を完全に反らせつつ、死神を羽交い締めにした。

「ここは場所が悪い。……場所を変えるぞ」
「っっ!!」

 羽交い締めにしたまま、後方へと跳躍。
 その先は崖、と言っていい。地上、地面にまで10m程の高さがあるのだ。


「ぁっ!」

 目の前から消え去る2人をみて、シノンは慌てて 飛び出した。

 空中で、藻掻く死神と、それを冷ややかに見つめているリュウキ。
 
「今更だが思った。
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