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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
第1章:影月異変
episode1:ぶらり幻想出会い旅
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この位置からでは草の中は見えないが、文の位置からは見えるらしい。流石に鈍感な私でも、その光景は容易に察する事が出来た。
「止めとく。今は、原因を探そう」
「ええ。……ッ!──いえ、原因は探すまでも無さそうですっ!」
突如、強烈な風が吹く。
背後から『ばきゃり』という不穏な音が鳴り、同時に何か大きな物が薙ぎ倒された様な音が鳴る。
「妖怪です。隠れて」
「分かった」
この手の事は何度かあった。その度に助けられているが、私に何が出来る訳でもないので、大人しく下がる。
その妖怪は、人に近い姿をしていた。
「フーッ……!フーッ……!」
「
死徒
(
グール
)
ですか。この辺りには生息していなかった筈ですが……どうやら、此処を根城に仲間を増やして、人里を襲撃でもしようとしていた様ですね」
「グルぁぁぁァっ!」
一歩。
死徒はその一歩で、文との間合いを無くした。
速い。ほんの一秒でその間合いを詰め、更に次の攻撃に最も適した体運び。場数を踏んでいるのか、理性があまり無いとは思えない巧さだ。
──まあ、人間から見ればの話ではあるが。
ヒュゴァッ!
「──きゅぺぁっ!?」
奇妙な音を立てて、死徒の腕がこれまた奇妙な方向へと折れ曲がる。
同時に死徒の体は吹き飛び、半ばほど胴体が抉れた。
制御の効かない体は受身を取る事すら出来ず、糸の切れた人形の様に大木に叩き付けられた。
「死徒如きが鴉天狗に楯突こうとは、愚かですねぇ」
蹴り一発でこのダメージである。本気を出せばどうなるかなど、知りたくもない。
だけれどもまあ最早定番であるこの結果に対して私はこう言おう。
──テメェの敗因はたった一つだぜ……たった一つのシンプルな答えだ……
お前は射命丸を──
「さてヒメノさん。これでお仕事は完了ですか?」
待ってあやや!今すっごい重要な決め台詞なのっ!ス○ンド使いでも無ければ私が戦った訳でも無いけどせめて言わせてっ!
「ふぇっ!?あ、あぁ、うん。後はその死徒を妖怪の山の麓に返せばオシマイ」
勿論殺してはいない。死徒はとても再生能力が高い妖怪で、耐久性もあるから、ここまでしないと生きたまま無力化は出来ないのだ。後は死徒の再生能力に任せて、本当の住処に送り返せばお終い。
「では早速……っと、雲でも出ましたかね?一気に暗くなったようですが」
「え?確か今日は雲なんてなかった筈だけど……」
「あやや?ふーむ、まあ、良いでしょう。後で確認すればいい話でしょうし」
文が風を操作して、ピクリとも動かなくなった死徒の体を浮かばせる。
よし、これであとは送り届ければ──
──ひゅぎおっ
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