第1章:修正の始まり
第7話「母親」
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掃除していないのだろう。
「束、上がっていいよ。」
「...うん。」
靴を脱ぎ、リビングへと向かう。多分、そこにいるのだろう。なんとなく、そう思えた。
「...母さん。」
「桃花さん...。」
リビングに入り、ソファーに座っていた母さんに話しかける。
「...ぇ.....?」
ゆっくりと、俺の方を振り返る母さん。
「っ....ただいま、母さん....!」
「さく....ら.....?」
生命力そのものを失ってしまったかのような母さんに、俺はいてもたってもいられず、涙を流しながらそう言った。
「さく..ら...?本当に、桜なの...?」
「あぁ、ああ...!俺だよ..!母さんの息子、桜だよ...!」
体に手を触れた瞬間に、母さんは相当弱っている事が分かってしまった。
「...よかった...また...あえ...た.....。」
「...母さん...?母さん!?」
安心したのか、眠るようにソファーに倒れこんでしまう母さん。
「....さー君、まずいよ...!」
「っ....!」
衰弱している。このままだと死んでしまうだろう。それだけは、何としても阻止しなくては...!
「束!何とかできないか!?」
「確か、さー君のために作っておいた治療ポッドを再開発しておいたから、それなら!」
束に聞いてみると、俺を10年以上生かしたポッドが再開発されていたようだ。
「急ぐぞ!」
「うん!!」
母さん...!せっかく再会できたんだから、死なないでくれよ...!
「身体の衰弱、栄養不足・運動不足による身体機能の低下...よくこれで生きてこられたな...。」
「ホントだよ...。間に合ってよかったぁ...。」
何とか会社に連れてくることに成功し、母さんを緊急治療する。
「....外傷がメインのこの治療ポッドじゃ、これ以上は治せないよ。」
「衰弱は俺たちで何とかする...か。」
母さんをポッドから出し、束とクロエに服などを任せる。
「桜さん、あの人は....。」
「俺の、母さんだよ。」
秋十君とユーリちゃんが俺の所に来てそう聞いてきたので、簡潔に答える。
「ずっと、俺の帰りを待ってて、自分の体調管理もしてなかった...本当、バカな母さんだよ.....。」
「桜さん....。」
涙が溢れてきて二人に心配される。....あんなになってまで俺の帰りを待っててくれたんだ..。あの母さんは...。
「....っ、俺らしくないな...。ちょっと、行ってくる。」
「行くって...どこにですか?」
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