第3章 リーザス陥落
第66話 サテラの思惑
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聞き覚えのある声が酒場に響く。そして、中にまず、ランスが入ってきた。それに続いてかなみや志津香も。
「っ……、な、なによ! ランス。 あ、あんたは嫌いだから、あっち行ってよ!」
「ふん! 俺様だけだというのか? 最初の頃は かなみや志津香、オレ様の下僕どもにも言っていたくせに」
「誰が下僕よ!!」
「ローラさんは、漸くわかってくれたのよ。……一体誰が真の悪か、をね」
「誰が真の悪だコラ!」
「自覚してんじゃない」
いろんなやり取りをしながら。
「いいから止めろって。……手早く要件を済ませよう」
続いてユーリが入って来た。
そして、ローラにとって、その後にもう1人現れた人。それこそが、彼女の光だった。
「「ユーリ殿っ!」」
ハウレーン、メナドの2人が顔を上げた。そして、ローラも。
「……さぁ、後は頼むよ。ローラに声が届くのはお前だけだ。……ウー」
「うんっ! 判った! 任せておいて。ありがとう、ユーリ!」
リスは、勢いよく入っていった。そして、ローラの前に立った。
「え……?」
いきなりの事で、戸惑ってしまった。目の前の人間が誰なのかも判らない。この町でも、見た事の無い顔だった。
「僕、僕だよ! リスだよ、ローラ。君と暮らすために、人間になったんだ」
「え、……う、うそよ。……、だ、だって、あの人は……もう……」
ローラは嘘だ、と言っていたけれど、その目の奥には光が戻っていた。
嘘だ、と言っている事が嘘だと言う事を。
「死んではいないよ! ちゃんと人間になって戻ってきたのだから。……ユーリや神官様のおかげで、全部、全部、僕たちを阻んでいた壁を除ける事が出来たんだよ! もう、僕達の愛を、……もう邪魔するものは、いないんだよっ!」
ローラは、その人間をじ……と見つめた後、ユーリを見た。
ユーリは目が合った途端に、表情を緩め、頷いた。そして、必死に説得しに来てくれた2人の女性軍人達も、笑顔でユーリを見て、そしてローラを見た。
「……まだ、判らないなら、信じてもらえないなら、証明するよ」
ウーは、ローラを抱きしめると、ひと目もはばからず、自身の唇を、ローラの唇に、震えているその唇に押し当てた。
その場にいた誰もが顔を赤くさせてしまう様な光景だが、それよりも 感動に包まれた。
ローラは、その暖かさを直に感じた。
目を瞑り……ウーの暖かさ、包み込んでくれる優しさを感じ、これまでの事を、出会ったあの時の事を……、全て思い出した。
思い出が1つの形となり、答えに繋がる。
「……ウー、ウー、君…なの?」
「そうさ! まだ 信じられないなら、なんでも聞いて。ローラと出会った場所や会った時に言っ
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