暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第66話 サテラの思惑
[7/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も、今の苦しみに比べたら何でもない。リスの所へ連れて行ってくれるのなら、痛みよりも喜びの方が大きい。でも、今日も違った。

「……なによ! さっさと私を拷問でもなんでもしてよっ!! 自分じゃ、自分じゃ……死ねないから、死ぬ事が出来ないから! だから!! あいつらに復讐して、そして私も、ウー君の所に、いけるって……信じてたのに」

 ぐっ、と涙ぐむ、ローラ。

 涙は煽れ、流れ出した。そんな彼女を見て、すっと前に出て彼女を包み込んだ。それは、メナドだ。

「……そんな悲しい事、言わないでよ。死ぬなんて、言わないでよ。……死んだら、悲しむ人がいっぱいいるんだよ? お父さんやお母さん、それに、ウー君だって」
「っ! リスは、リスはもういないっ!」
「お願い、信じて。……ランスは、あんなだから、信じられないかもだけど。……ユーリは違うんだ。ユーリは……僕を助けてくれたんだ。リーザスの時だってそう。僕が、僕が危なかった時、助けてくれた。……それに、ヘルマンの連中に囚われていた僕を、それに皆を助けてくれて。それだけじゃないよ。カスタムやレッドの町の皆も救ってくれて。……僕にとっても、皆にとっても、ユーリは 大切な大恩人なんだ。だから、そんなユーリが、嘘なんかつかない。絶対に、絶対につかない」
「っ……」

 ローラは、言葉に詰まった。

 確かに、あの洞窟で自分を襲ったのはランスだ。自分は、リスのモノなのに、その自分の身体を。でも、確かにユーリはあの時、外でいただけだった。

 あの紫色の髪を持つ少女と、神官と。

 でも、あの時は逆上して何もきかなかったし、何も信じられなかったそして、今も、これまでもそうだと。

「その通りです。……我らを信じなくとも、彼は、ユーリ殿は信じていただきたい。これは、後生の頼みです」

 ハウレーンも頭を下げた。
 そして、他の待機した軍人達も、皆が頭を下げた。

 ローラは、それを見てまた、絶句した。

 これほどの数が、それもリーザスを主君と崇めている軍人達の皆が、1人の冒険者を信頼しきっている。それがどれだけ異常な事か、よく判る。そして、なんでだろうか、ウーが生きていると言う事は嘘に思えても、これは嘘じゃない、と思ってしまった。

 直感してしまったのだ。

「わ、私は……私は……」

 ローラは俯いた。

 その時だ。

 酒場の入口が開く。
 その扉の隙間から光が漏れた。まるで……、光が入ってくる、と錯覚してしまう程に。





〜そして、時間は元に戻る〜





 ユーリ達は、ラジールの町に着いた。
 強行手段を取るかもしれない、と言う気持ちから、その脚を早めたのだ。

「ここに、この酒場に僕のローラがいるんだね」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ