第3章 リーザス陥落
第66話 サテラの思惑
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も、今の苦しみに比べたら何でもない。リスの所へ連れて行ってくれるのなら、痛みよりも喜びの方が大きい。でも、今日も違った。
「……なによ! さっさと私を拷問でもなんでもしてよっ!! 自分じゃ、自分じゃ……死ねないから、死ぬ事が出来ないから! だから!! あいつらに復讐して、そして私も、ウー君の所に、いけるって……信じてたのに」
ぐっ、と涙ぐむ、ローラ。
涙は煽れ、流れ出した。そんな彼女を見て、すっと前に出て彼女を包み込んだ。それは、メナドだ。
「……そんな悲しい事、言わないでよ。死ぬなんて、言わないでよ。……死んだら、悲しむ人がいっぱいいるんだよ? お父さんやお母さん、それに、ウー君だって」
「っ! リスは、リスはもういないっ!」
「お願い、信じて。……ランスは、あんなだから、信じられないかもだけど。……ユーリは違うんだ。ユーリは……僕を助けてくれたんだ。リーザスの時だってそう。僕が、僕が危なかった時、助けてくれた。……それに、ヘルマンの連中に囚われていた僕を、それに皆を助けてくれて。それだけじゃないよ。カスタムやレッドの町の皆も救ってくれて。……僕にとっても、皆にとっても、ユーリは 大切な大恩人なんだ。だから、そんなユーリが、嘘なんかつかない。絶対に、絶対につかない」
「っ……」
ローラは、言葉に詰まった。
確かに、あの洞窟で自分を襲ったのはランスだ。自分は、リスのモノなのに、その自分の身体を。でも、確かにユーリはあの時、外でいただけだった。
あの紫色の髪を持つ少女と、神官と。
でも、あの時は逆上して何もきかなかったし、何も信じられなかったそして、今も、これまでもそうだと。
「その通りです。……我らを信じなくとも、彼は、ユーリ殿は信じていただきたい。これは、後生の頼みです」
ハウレーンも頭を下げた。
そして、他の待機した軍人達も、皆が頭を下げた。
ローラは、それを見てまた、絶句した。
これほどの数が、それもリーザスを主君と崇めている軍人達の皆が、1人の冒険者を信頼しきっている。それがどれだけ異常な事か、よく判る。そして、なんでだろうか、ウーが生きていると言う事は嘘に思えても、これは嘘じゃない、と思ってしまった。
直感してしまったのだ。
「わ、私は……私は……」
ローラは俯いた。
その時だ。
酒場の入口が開く。
その扉の隙間から光が漏れた。まるで……、光が入ってくる、と錯覚してしまう程に。
〜そして、時間は元に戻る〜
ユーリ達は、ラジールの町に着いた。
強行手段を取るかもしれない、と言う気持ちから、その脚を早めたのだ。
「ここに、この酒場に僕のローラがいるんだね」
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