第3章 リーザス陥落
第66話 サテラの思惑
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でも無ければ、無数のモンスターが蔓延っているあの洞窟にきたりはしないし、居住を構えたりしない。ウーと一緒なら、どこでも良かったから。そして 例え、この世の誰もが認めてくれなくても……ただ、一緒にいられるだけで良かった。
だけど……、その幸せはある日、突然打ち砕かれた。
あの連中が来たからだ。
「……ウー君。……ウー……っ」
瞳に何かが集まってきているのは判る。
飲めば、酔えば、忘れる事が出来ると思った。それでも、飲んだアルコールは全て眼から、涙として流れ出てしまう。全く酔えない。全てが涙となって、流れ落ちてしまうから。ランス達が来ていた時は、怒りの感情が優っていたから、涙は流れなかった。だけど、今は無理だ。まるで壊れた蛇口の様に、涙が止まらない。
「……失礼する」
そんな時だった。
今日もまた、あの連中がやって来る。
装備から考えて、リーザスの軍人だと言う事は、初めてきたあの時から判っていた。
そして……、リーザスの危機を救う為に、あの武器防具が必要だと言う事も、もう、薄々だがローラは 理解しだしていた。
でもなければ、軍人が、それも一般人ですら知っている様な、リーザスの大物将軍、総大将が自ら来たりしないだろう。
「何の用? ……私の考えは変わらないわ。言った筈よ、ウー君のいないこの世界に未練なんか、これっぽっちも無いんだから」
複数の軍人を前にしても、決して億さず、恐れずそう言ってのけるローラ。
でも、彼女の精神は限界に近かった。
――……未練はない。無いから、もう死にたい。……愛するウーの元へと連れて行って欲しい。
ローラは そうまで考えていたのだ。
……だけど、最後の最後まで、ウーを奪ったあの男達へのせめてもの復讐。命が続く限り、拒否を続ける。それだけが、彼女の生き甲斐だった。それだけが、彼女をこの現世へと繋ぎ止める楔だった。
「……我々としては、貴女に手荒な事はしたくない。これは紛う事なき、事実です。……軍人とする以前、同性として……、同じ女として、貴女の想い、辛さは判っているつもりです」
この場に来ていた 白の軍 副将ハウレーンが一歩前へ出て頭を下げた。
事の顛末に関しては、全てユーリから聞いている。
リスのウーが 生きている事実も、知っている。それでも、ローラには、どうしても信じてくれなかった。
「だから、何度でも、何度でも言うよ。どうか、どうか信じて欲しいんだ。……そのリス、ウーは生きている。だから、そんな悲しそうな顔、しないで」
メナドも来て頭を下げた。
ローラは、今日こそは拷問でもなんでもして、無理矢理に聴き出すんだ、と想っていた。どんな痛みによる苦しみで
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