第3章 リーザス陥落
第65話 ハイパービルでの再会
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とつき、そしてセルは感謝の意を示していた。
志津香とかなみがやけに静かだ。
「……大丈夫か?」
「……」
「……」
ユーリの言葉に反応しない。
臆してしまったのか?と一瞬思ったが、この2人は、一度戦い敗れているのにも関わらず、この場に来ている。それは多分無い、とユーリは判断して、もう一度声をかけた。
「志津香、かなみ。大丈夫か?」
やや、声のトーンを上げた。それを聞いて流石に、気づいた2人は、同時にユーリを見た。
「ええ。大丈夫」
「はい……」
志津香は何処か怒っている様で、そして、かなみは 何やら複雑そうだ。
「よし、なら行こう。……手がかりを掴まないとな。このビルも一筋縄ではいかない様だ」
魔物の気配がする、と言っていたセルの言葉は正しい。唸る様な生き物の声等が聞こえてくるから。
「よーし! まとまったな。行くぞ! オレ様の下僕達!」
ランスを先頭に一行は進む。この時ばかりは、下僕〜云々はもうとりあえず置いておくユーリだった。気にしてるのは、自分だけの様だし。
因みに、志津香やかなみが考えていたのは全く別の事。
「(あの、感じ)」
「(……あ、あの声)」
2人の脳内で再生されるのは、先ほどのやり取りの映像。ユーリがランスの影から出ていき、そしてサテラと相対した。以前に、追い返したと言う事実は聴いているし、それだから、サテラが警戒をしているんだと思った。……ユーリが1人で向かおうとした時は本気で心配もした。
なのに、サテラの感じ、仕草……それに、なんだかとても親近感が湧いてきたのだ。
人外の化物、人類の敵。今回の事件の最大の障害の1つ。様々な形容が当てはまる魔人・サテラ、だったのだが……。
「(あの、表情)」
「(……か、噛んでたし。動揺も……)」
何度、先ほどの光景を 脳内で再生しても、……何度考えても、サテラの表情が、言動が意味するのは1つしか感じられなかった。
そう、云わば《恋する乙女》の様な様子だと言う事。
薄暗かったから、赤くなっているかどうかは確認出来なかったけれど、一気に緊張した感じと言い、あの動揺具合と言い、ただ警戒しているだけじゃないと思うのは極々自然の事だ。攻勢に出る訳でもなく、その場にいたたまれなくなって退散していたし。魔人の年齢は判らないけれど、外見を考えたら 完全に女の子だから。
「………」
「………ぁぅ」
ユーリには前科、と言うか、ヒトミの事もある。
だから、まさか魔人も……?と考えに至ってしまったのは無理もないだろう。もしかしたら、あの魔人と 戦わずして、終える事ができる可能性も出てきたのだが、全く歓迎できない自分達も確実にいた。
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