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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
龍皇の遺産
クエストに出掛けよう 02
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れることはない」

 ヴェルンドさんが語る話しを、僕とアマリは遮ることなく聞いた。
 クエストの説明だから、と言う理由ももちろんあるけど、口を挟むことが躊躇われたのだ。 なんとなく、この続きが予想できたから。

 「しかし、つい先日のことだ。 龍皇様が貴様ら人間共の手にかかり、身罷られてしまったのだ」
 「…………」
 「…………」

 予想通りの続きに、僕たちはやはり何も言えない。 何かを言えるわけがない。
 だって、ヴェルンドさんの言う『人間共』の中に僕たちは含まれているのだから。 それは種族として、と言う意味合いではなく、龍皇の討伐に僕たちも参加していた、と言う意味合いだ。

 龍皇。
 正式名称と言っていいのかどうかは微妙だけど、スヴァローグ・ザ・エンペラー・ドラゴン(Svarog the Emperor Dragon)と言う名のフロアボスだ。
 ドラゴンタイプの巣窟である70層のボスに相応しく、巨大で雄々しい姿をした彼を討伐する際のレイドに僕とアマリは参加した。 ラストアタックこそ僕たちではないけど、だからと言って殺したことに変わりわない。
 そう。 僕たちは殺したのだ。 ヴェルンドさんが慕う、龍人族の皇帝を。

 「龍皇様が身罷られた今、次元の狭間に隠されたあの鉱脈に行くことは叶わない。 だが、手がないわけではないのだ」
 「……手?」
 「うむ。 我が持つ腕輪だけでも道を開くことはできる。 しかし、それはあくまで開くだけで、道を固定することができん。 そこで貴様らだ。 貴様ら人間の力を借りるなど業腹だが、背に腹は変えられんからな」
 「それで?」
 「何、簡単なことよ。 我が道を外から開き続けておく。 その間ならば道は渡れるだろうし、鉱脈の中を歩くこともできるであろう。 つまり、鉱石の採掘が可能、と言うわけだ」

 僕たちの思いなんてお構いなく進んでいくクエストの説明。
 いかに挙動が自然だろうと、やはりそこはNPC。 システムが決めたクエストのストーリーに従うしかなく、感情だってありはしない。

 ヴェルンドさんは秘宝の在り処に至る鍵を龍皇から与えられるほど信頼されていたのだ。 その信頼が一方通行なわけもなく、きっとヴェルンドさんは龍皇のことを慕っていたと思う。 それは、今までの言葉の端々からも感じられた。
 慕っていた皇帝を殺した下手人が目の前にいて、僕であれば真っ先に復讐を考える。 殺そうと行動する。
 もしもそうなった時、僕はそれを責めたりはしないだろう。 当然の思考だと納得するだろう。 もちろん、だからと言って大人しく殺されるつもりは毛頭ないけど、それでもいい気分ではないのは確かだ。

 「もしも貴様らが道を渡り、鉱石を採掘すると言うのなら道を開いてやってもいい。 本来であ
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