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キル=ユー
9部分:第九章
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「その通りだ」
「だったら見なかったらいいんだよ」
 俺はここでニヤリと笑った。
「見なかったらな。違うかい?」
「それに気付いたのか」
「ああ。そしてな」
 俺はわくわくしていた。種明かしがこんなに面白いものだとは思わなかった。だが同時に手品師には向いていないとも思った。種明かしをしては話にならない仕事だからだ。ここは幸い手品師ではなく裏の世界の殺し屋って仕事に珍しく感謝をした。
「縫ったのさ」
「縫った」
「上の瞼と下の瞼をな。絶対に開かないように」
「文字を見ない為にか」
「おかげで昨日は身動きがとれなかったぜ。部屋から一歩も出られなかった」
「盲人になったのか」
「一日だけな。心の中ではそれでも頭の中に見せてくるんじゃないかってヒヤヒヤしてたけどな」
「安心しろ、それはない」
「ないのか」
「私の術は。そうしたものではない」
「それはラッキーだったね」
 俺は自分の閃きと幸運にこの時心から感謝した。
「そして一文字でも途切れたら終わりなのだ。つまり」
「俺は助かったってことだな」
「残念なことにな」
「運がいいことにな」
 俺は正反対のことを言い返してやった。これも気持ちがいいものだ。

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