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八神家の養父切嗣
五話:人と機械
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ラが目で制す。
 その目を見て何を言わんとしているかを悟り彼女は口を噤む。
 二人共原因に思い当たり、同時に治療法にも思い至ったのだ。

「……とにかく、覚悟だけはしておいて欲しい。いつ何が起きてもおかしくない」
「……分かりました、お父上」
「それじゃあ、僕は眠らせてもらうよ。……少し疲れた」

 切嗣は相も変らぬ無表情のまま頭を抑えながら自室に戻る。
 騎士達は苦悶の表情を浮かべその姿を見送るだけだった。
 家族の危機に悲しみの感情をあらわにするヴォルケンリッター。
 娘の死が近づくことを何とも思っていないように淡々と語る父親。


 ―――これじゃあどっちが機械か分からないな。


 客観的にその様子を想像した切嗣は内心でそう自嘲するのだった。




「……主の病因は十中八九、闇の書だろうな」
「闇の書の魔力が、リンカーコアの未成熟なはやてちゃんの体をむしばんでいるんだと思うわ。それが健全な肉体機能どころか生命活動さえ阻害している……」
「なぁ、シャマルの治療でどうにかならないのかよ! シャマルは治療系は得意だろ!」
「……ごめんなさい。私の力じゃ」

 何故今の今まで気づかずに呑気に過ごしていたのかと己の身を呪いながらシグナムは言葉を絞り出す。
 この世の終わりのような顔でシャマルは分析を行い、ヴィータはそんなシャマルに涙ながらに縋り付く。
 もしも自分達が罰を受けるのだというのなら何も文句はない。
 自分達はそれだけのことをしてきた。だが……どうして関係のない主なのだ?
 何も悪い事をしていないはやてなのだ? そんな不条理だけが騎士達の胸に渦巻く。

「少し場所を移そう。ここだと主が起きてきたときに聞かれる可能性がある」

 シグナムの提案により騎士達はリビングから移動しシグナムの部屋に移動する。
 しっかりと施錠をし誰も入って来られないようにして改めて話し始める。
 結界を張ることも考えたが切嗣に何かやましいことをしていると察知される恐れがあるので控えておいた。

「我らヴォルケンリッターは主はやてに多大なる恩を与えて頂いた。今、その主が危機的状況にある。ならば我らはこの恩を返さなくてはならない」
「はやてを助ける。どんなことをしてでも…ッ!」
「残された手は余りにも少ない。しかし―――ゼロではない」

 四人の視線が一つに交わる。彼等には闇の書の守護騎士としてのつながりがある。
 故に言葉など交わさなくとも相手が何を考えているかは分かる。
 主はやてを闇の書の呪いから解き放つには一つしか方法がない―――

『闇の書の蒐集を行い、主はやてを闇の書の真の主にする』

 闇の書が完成すればこれ以上はやての体を蝕む必要はない。
 完全に病が消え歩けるよ
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