10部分:第十章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
死神の声は完全に消えてしまった。
「何だかんだ言って親切な奴だったな」
死神だってのに。今までこんなことは人間にも言われたことはなかった。
「地獄か、煉獄か」
そして最後の方の単語を復唱した。
「行くのは煉獄の方がいいに決まってるが今更な」
罪を清めてとか言える立場じゃないと思った。流石にこれは図々しい。
このままどっかのどいつに撃たれるのならそれも運命だと。こっちの世界の人間なんてベッドの上で死ねる奴は本当に運がいい奴だけだ。用心しててもやられる時はやられる。
そこはわかっているつもりだ。だから天国や煉獄に行くつもりはなかった。この仕事を続ける。
死神の有り難い言葉は受け取らないことに決めた。
「撃たれて死んで地獄に行くのがこっちの人間ってやつさ」
最後にこう心の中で呟いた。そして俺はトレーニングに集中した。
「それまで精々。楽しんで生きてやるさ」
これが俺の人生哲学だ。死神だろうが誰だろうが従うつもりはなかった。そして道端で惨めに死んでやる。それで地獄に行くっていうんなら上等だ。最後にこう思った。
キル=ユー 完
2006・5・19
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ