暁 〜小説投稿サイト〜
キル=ユー
1部分:第一章
[2/3]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
けてみせたがよくわかっていた。何しろ俺もその中にいたからだ。
「何か片方のファミリーのドンがやられたらしいな」
 俺がまともに心臓を撃ち抜いてやった。オペラハウスから出たところをズドンだ。ドンは階段を転げ落ちてそのまま地獄行きだった。すぐに俺はそっちのファミリーから睨まれてシカゴからここに高飛びする羽目になった。勲章って言えば勲章だがそれを口に出したら俺がそのドンの次に地獄に行っちまう。言いたくても言えないし飾りたくても飾れない厄介な勲章だった。
「そう、それでな」
「バラした奴を探してるんだな」
「そうらしいな。それでそいつを始末する為に」
「そのオカルトを雇ったってわけか」
「そういうことだ」
「面白い話だな」
 その始末される奴が俺なのはすぐにわかった。だから余計に面白かった。思わず笑ってしまったというわけだ。
「で、だ」
「ああ」
「そのオカルトな殺し屋は何て名前なんだい?」
「名前ははっきりしない」
「へえ」
 増々面白い。名前もはっきりしないとは。
「顔もな」
「何処の奴か全然わからないのか」
「シチリアの奴が雇ったってだけはわかるがね」
「わかるのはそれだけっと」
「ああ。他は何もわかりゃしねえ」
 シチリアの奴が雇ったからってその雇われた奴がシチリアの系列の奴だとは限らない。これは俺にもこいつにも常識だった。この世界色々な奴がいる。チャイニーズもいればアフリカンもいる。ヒスパニックもいる。俺が今一つ好かない今だにお高くとまったワスプもいる。他にも色々といる。このアメリカって国がそうであるようにその裏の社会も同じだ。色々な奴がいて動いている。
「何もな」
「話聞いてりゃケルトとかチャイナっぽいけどな」
「そりゃ完全にオカルトだろ」
 バーテンの言葉にそう返した。
「アイリッシュもチャイニーズも実際はそんなことしねえよ」
「そうなんかね」
 これは実際にわかっていた。ここにいるチャイニーズの連中の仕事もしたことがある。やることはシチリアや他の連中と大して違いがない。もっとも根城になってるチャイナ=タウンは複雑に入り組んでいて何が何処にあるのかそうそうわかることが出来ない場所になっているだけだ。そこがシチリアの奴等と違っていた。
「そうさ。ついでに言えばナポリの奴等もな」
「あんたそっちにも顔が効くのか」
「好きで繋がり作ったわけじゃねえけどな」 
 雇われた関係だ。シチリアの連中がマフィアでナポリの連中がカモラだ。あのシカゴの暗黒街の帝王アル=カポネは実はナポリの出身でカモラの系列だ。本当はマフィアのドンになれる立場じゃなかった。駆け出しからかなりの地位になるまで頼りになる兄貴分がいたからああなれた。そうでなきゃ幾ら実力があっても外様がドンになれる筈もない。
「変わりゃしねえよ。ど
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ