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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 16.
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んか』
『違う!! 俺達を甘く見るな!!』
 刹那が殊更「俺達」を強調し、エクシアでGNソードの切っ先を光らせながらアリエティスに下方から斬りかかる。
 滑走路では、バラ群の放つ凍結ファイヤーをかろうじてダイ・ガードが避ける。
 息をついた赤木が、次元獣もどきではなく上空の敵に気炎を吐いた。
『そうだ! ZEXISのスフィア・リアクターは、俺達と一緒に戦う!! 嘘つきのお前が何を言ったって、俺達だけじゃ力不足だって話は誰も信じない! まだ何もわからないだろ!? 戦いは始まったばかりで、俺達はこの敵と全力でぶつかっちゃいないんだ!!』
『いい事言うぜ! サラリーマン』
 アポロが破顔すると、ソーラーアクエリオンの右手が前に突き出された。
 アクエリオンは、3機のベクターマシンの合体から成るロボットで、アポロが操縦する今の形態をソーラーアクエリオンと呼ぶ。3種類あるアクエリオンの形態の中でも最強を誇り、赤と白を基調としたボディカラーはそのまま太陽の威光を表した。
 トライダーG7サイズの機体は、今三角錐の植物塊を下から見上げている。
 先端に拳を握らせたまま突如右腕が伸び始め、ソーラーアクエリオンの身長よりも長く、更に長く水平方向に進む。
 対する怪植物は、凍結ファイアーを打ち出す。
 が、その氷の一撃は魂の拳によって遮られた。
 アポロ達の情熱ばかりか凍てつく敵の憎悪さえ乗せ、文字通り鋼の鉄拳が、Dフォルトをものともせず巨大な茎の塊を穿つ。
 ソーラーアクエリオンの最強技、壱発逆転拳だ。
 本来、アポロから放たれる始まりの力は生命力を腕に伝え、拳の先に大輪の花を咲かせる。神話的存在とヒト、そしてアクエリオンという鋼の機体が3人のエレメント操者の干渉によって交差する2つの三角形を描き出し、咲く筈のない花を拳につける。
 一輪の大花。バラよりも素朴な形をしているが、花全体が発光し深夜のバトルキャンプで最も輝く存在となった。
 流石のソーラーアクエリオンでも怪物を中空に打ち出す事は叶わなかったのか、生命の花は、大きく凹んだ三角錐の中心部分で爆発的な光を放出し続けている。
 苛立ちと閉塞感からぐらついていたクロウの心に、1本の支えが加わった。これこそ、壱発逆転拳が仲間達にもたらす効能だ。辛い夜を凌いだ後に迎える日の出でも、生命の花程に見る者全ての心と体の両方に訴えかけはしないだろう。
 心が晴れるのではない。輝花は躍動をもたらしてくれる。心の隅々に、そして腹から広がり全身の細胞一つ一つに至るまで。
 ソーラーアクエリオンが、深夜の空を仰いだ。その先には、微動だにしないヴァーチェが浮いている。
『目を覚ませ!! ティエリア!! 間違えってのは、アイムの話に乗る事だ!!』
『アポロ…!』
 ようやく我に返ったのか、ティエリアの
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