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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 15.
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ていた。が、余りにも見え透いた嫌がらせに、クロウは自ら話を中断し食ってかかる。
『そして、2つめの質問ですが』
「アイム!! てめぇ…!!」
『貴方が見た破片は、推察の通りライノダモンの一部です』
 喉でまとまりかけていた罵声の数々が、クロウの中で詰まって止まった。
『3つめの質問に対する答えは、最初の答えと同じです。あの空間をテリトリーにしている、残された者共。つまり、我々は共に力ある存在であるが故、同じ敵に魅入られてしまったのですよ』
『なら、4つめの質問といこうか』
 ロックオンが突きつけると、アイムは素直に回答に応じた。
『ええ、それもありましたね。捕獲する為の罠に捕らえられた次元獣は、ある共通した現象に見舞われます。それを突破できるか、できないかの差で結果が変わる。それだけの事ですよ』
『なるほど。今の説明で確信が持てました』それは、意外にもルカの声だった。ルカは自分のメサイアで哨戒活動を行いつつ、次元獣に起きた異変に独自の考えを巡らせていたらしい。『つまり異変の正体は、Dフォルトの変質です』
『その通りです』
 目を細め、アイムが微笑した。
 大いに引っかかる表情だが、これ以上話の腰を折る事で核心から遠ざかってしまうのは是非とも避けたい。
 ルカが意気込んだ。
『見えているしレーダーにも反応するのに、ZEXISの攻撃が全く当たらない。鳴き声が聞こえなくなるのも、変質したDフォルトが遮断してしまう為かもしれません』
『じゃあ、アリエティスのブラッディ・ヴァインが通用するのは何故? 何にその差があるっていうの?』
 ソーラーアクエリオンの中で、シルヴィアが小さな唇を尖らせた。
『おそらくこの地球圏で、俺達の攻撃が通用しなくなった次元獣を始末できるのは、アリエティスだけだ』ダイグレンに帰還したゴッドシグマから、ジュリィの声が割って入る。『次元の境界に干渉できる力。そういう力の出力源を手駒に加えているのが、インペリウムだからな』
『なるほど、そういう事か』合点のいった五飛が、トレミーに後退しつつアイムの意図に触れる。『アリエティスの力で変質したDフォルトをこじ開け、次元獣が連れて行かれる前に始末した。次元獣の能力が、敵を引きつけているのか』
 アイムの返答から、仲間達が次々と可能性の広がりを編み上げてゆく。
 クロウの脳内を、突然一陣の爽風が吹き抜けた。
 謎の敵に狙われている次元獣。アイムとクロウに関わりたがるバラの贈り主。Dフォルトを変質させる敵の能力。そして、青い異世界に現れたアリエティスと、クロウを助けたアイムの意図…。ようやく疑問の多くが、1本の糸で繋がった。
「見えてきたぜ。事件の全容ってやつが!」鼻息も粗く、クロウが収穫に気色ばむ。「ついでだから、もう少し吐いていけよ。アイム。その残された者共、と
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