月下に咲く薔薇 15.
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見守っていた者が揃って同じ光景を記憶という形で再現する。
バルディオスやマジンガーZ、デスサイズが次々と離水し、アリエティスに落とされたパーツを手にしたまま母艦に吸い込まれていった。
『済まない』四聖剣の1人である仙波も、月下のコクピットで落胆ぎみに絞り出す。『こちらは、全弾撃ち尽くした』
月下4機と無頼が、緩やかな軌跡を描きダイグレンと合流する。
海中戦を任された者、基地と仲間達の為に次元獣の目を引きつけていた者は、等しく退かねばならない悔しさを滲ませている。
何しろ、強敵の登場後だ。
海面から300メートル程上空で、再びアリエティスが静止した。
それ以上攻撃する意図はないのか、後退する機体の他ブラスタやMS、メサイアなどの包囲にも反撃や追撃で応える素振りは一切見せずにいる。
『つまりお前は、今のブルダモンに何が起きたのかも知っている訳だな』
怒声丸出しで、オズマがアイムに凄む。
今や、仲間達の思いは一つだった。
全員の中に確信がある。インペリウムにとって不測の事態が、アイムをこのバトルキャンプに、敵の重要拠点に引きずり出したのだ。
この事実一つだけを取っても、なかなかの収穫ではないか。しかも当人が目前にいるのなら、少しばかり口をこじ開けてやりたくなる。
たとえ虚言家という存在であろうとも、だ。
明るく照らされる滑走路からコスモクラッシャーが離陸した。更に、各母艦から新たにキラ、アスラン、シン、ルナマリアのMS4機、ガウェイン、アクエリオンが発進する。
隠し玉のようなアイムの秘策に備えたものらしく、ケンジ達は直接アリエティスの包囲には加わらない。それでも、アイムに対するプレッシャーは格段に増した。
『ほぉ。私を頼りにしたいという感情の現れですか』
「そいつは違う。だが、全部話せ。そういう舞台作りのつもりだ」
敢えて矛盾に目を瞑り、クロウは自分の論理を振り翳す。
アイムが、澄ました笑顔で左の口端だけを上げた。
『いいでしょう。しかし、覚えておいて下さい。私は、嘘つきなのですよ』
「能書きはいらねぇ。時間の無駄だ」
鳥つく島もないぞんざいな態度で、クロウは相手を突き放す。嘘を織り込むつもりだというなら、さっさと聞いてしまい、この男をバトルキャンプの上空から追い出すに限る。
露骨に不愉快そうなクロウの催促に何を思ったのか、アイムが『では、まず先程の質問に答えましょう』と、ようやく本題に関心を寄せる。
『クロウ・ブルースト。貴方が落ちたあの空間は、残された者共のテリトリーです』
「残された者共? 何処に残された何者なんだ?」
『2つめの質問ですが…』
「おいっ!! はぐらかすな! 残された者共ってのは何者だ?」
一応、従順な態度なるものをアイムなどに期待しても無駄と理解はし
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