月下に咲く薔薇 15.
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ラスタのモニターに、赤く発光するアリエティスが映っている。
青みを帯びた月の下で禍々しい赤光とは。ブラスタによる画像加工ではなく、あの機体自身が死の臭いをもたらす赤い光を進んで放っているのだろう。
球形の頭部に浮かび上がった2つの白色眼が、こちらを見ている。僅か50メートルの高度差から。
『何故、すぐに私を攻撃しないのですか? クロウ・ブルースト』
「お前に訊きたい事があるからだ」
『おや。私の話を事実と受け止める覚悟があると』アイムが、いきなり痛いところを突いてきた。『余程せっぱ詰まったものを抱えているようですね』
「そいつは、お前も同じだろう? ライノダモンをわざわざ送り込んでおいて、結局自分で始末したのか。実験の成功が原因、とかほざくなよ。爆笑ついでにぶっ放したくなるからな」
眉間に皺を寄せ、アイムはむっとしてモニター内で黙した。
クロウは、一度だけ深呼吸をする。
「アイム。…あの場所は一体何だ?」
それは、ふと口を突いて出た疑問ではない。噛み殺し、無意味だと躊躇しながらも、意志の力でクロウが声に変えた言葉だった。
母艦に留まるシンやキタンから、『何やってるんだ!?』と虚言家に問いかける愚かさを批判される。
しかし、やめる訳にはいかなかった。
間違いなく、アイムは幾らかの情報を握っている。あの場所に行く方法を、そして空間を渡りバラを贈る謎の侵入者についても。
「あそこに浮いていたのは、建物の中から消えたライノダモンの一部か? 次元獣は、一体何に狙われてる?」
『なかなか突飛な質問を重ねるのですね』
「違う、とは言わねぇのか」
クロウは、コクピットで白い歯列を見せにやりとした。口撃は得意な方ではないが、何とも気分がいい。
アイムの反応を見ていれば、こちらに伝わってくるものがある。
図星なのだ。
「お互い、随分と奇妙な奴に絡まれてるようだな。そろそろ話してもらおうか、アイム。お前が知っている事を洗い浚い」
『それには、途中から俺達の攻撃がライノダモンに通用しなくなった理由と、アリエティスの攻撃だけが通じる絡繰りも含まれるんだろうな』
不満を滲ませたロックオンが話に割り込むと、『その前に』とアイムが澄まし顔で機体を突然急降下させた。
「しまった!!」
一筋縄ではいかない相手とわかっていながら、意表を突かれた格好だ。奴が海を目指すなら、タケル達が危ない。
水中戦に引き込まれたブルダモンは、全てがネットやハーケンで動きを制限されていた。その縛りから解放してやるつもりなのか。
いや、直接ZEXIS機を仕留めにかかる事もあり得る。
「くそっ!!」
ブラスタのEAGLEが速射で、メサイア各機のガンポッドがアリエティスに立体的な攻撃を仕掛けたが、後方からの追跡弾は全てかわされるか破壊
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