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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第63話 襲撃の魔人サテラU
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ハウレーンに近づくまもなく、首にサテラの一撃を受け、昏倒した。

 それは、リーザス司令本部となっている建物、1階の精鋭全てが壊滅した瞬間だった。






〜レッドの町・解放軍司令部 2F〜


 足早に、1Fへと続く階段へと駆けつけてきたのはバレスとレイラ、そして黒の軍の精鋭たちだ。

「あの者か!」

 バレスは、即座に理解した。
 1Fにいる者のその佇まい、そして威圧感。全てがこれまでに感じたことの無いものだったからだ。

 何度となく戦場で相見えてきた男、人類最強と称されているあのトーマでさえ、ここまでの威圧感は放てないだろう。だからこそ、本能的に理解できた。

「魔人」

 相手が、あの魔人だと言う事を。

「バレス将軍!」

 レイラも横に並ぶようにたち、構える。相手の強さは判っているつもりだ。自分は洗脳されていたとは言え、魔人の傍で恐らくこの場の誰よりもいたのだから。底知れないあの気配を、忘れる筈もない。精神に刻みつけられているのだから。

「また、出てきた。何だお前ら。ザコの癖に」

 サテラは、そう呟くと鞭を手に持った。

「……バレス将軍。こんな奴、蹴散らしてやりましょう! 我らリーザスの力を思い知らせてやりましょう!」

 レイラはそう言う。……彼女は 相手との力量の差を見極められない程未熟ではない。相手の力量をしれることも、強さの内だからだ。だから、判っていた。絶望的なまでの戦力差を。

 でも、今臆する訳にはいかない。

 ここが、リーザス最後の砦だから。

「きゃははは! 疲れてる流石のサテラも思わず笑ったぞ? このサテラを蹴散らす?」

 サテラは、額に手を当ててひと笑いした後。冷酷に睨む。

「バカ」

 その一言が戦闘開始の合図だった。

「かかれ!!」

 バレスの号令と共に、リーザスの兵士たちが突撃を開始した……が。

「サテラ、暑苦しいのは嫌いなんだ。散れ、ザコ」

 サテラが振るう鞭の速度は亜音速。人間の目に映らぬその速度は、攻撃直後、攻撃を貰ったと認識さえ出来ない。

 吹き飛ばされ、意識を手放す瞬間に、理解するのだ。圧倒的な力の差を。

ずぎゃっ!!

 あの鞭と、その魔人の姿形からは、想像が出来ない。人間がまるで紙屑の様に飛んでいるのだ。
 ある者は天井部に、またある者は壁に、其々が身を持って風穴を開けた。

「お、おのれ!」
「み、みんなっ!!」

 一瞬で敗北を喫した仲間を助ける余裕などない。もう、目の前にサテラ、魔人が来ていたのだから。

「わかったらどいて。サテラが用があるのはランスのバカだけ」
「どくわけにはいかぬ!」
「ここからは通さないわ!」


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