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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第63話 襲撃の魔人サテラU
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そしてその豪腕から繰り出す剣術が殆ど通じていないのだ。

「く、くくく。面白い」

 命の危険を感じた死合と言うものは、まだ知らない。
 ゲリラ戦においては、確かに多勢に無勢だったが、それでも、まだここまでのものは感じた事がない。

 だが、それが、それこそが嬉しい。清十郎は強くそう想っていた。

「くっ……、まさか魔人が直接乗り込んでくるとは」

 リックも、流れ出る汗を感じながらそうつぶやいていた。
 剣の速度、即ち攻撃の速度はこちらがやや優勢だ。だが、耐久力と攻撃力では間違いなく向こうが何枚も上手だろう。それも、全力を出し切っているか怪しい相手がだ。

「……皆を信じよう。オレ達は全力で、こいつらを叩きのめす。……こいつらとサテラが合流したら、敵の戦力は倍どころじゃない」

 ユーリは剣を構えた。
 正直、魔人相手に皆が勝てる、とは思えない。あいつらには攻撃が通じないのだから。理不尽極まりない代物を、生まれたその瞬間から持ち合わせているのだから。

「(……ランス、そっちは何とかしろよ! 皆……!)」

 ユーリが思うのはあの男の事。
 才能限界値が∞と言う本来なら有り得ないスペックの持ち主。自身の事も十分に有り得ない者だと言う事は認識しているが、同じ気配を纏っている男。鍛えれば鍛えるだけ、際限なく強くなる男。

 ……なのに、戦いを得てしばらくすると、下がってしまうと言うこれまた有り得ない体質?

「(皆……、無事でいろよ!)」

 直ぐに手助けに行けない自分に歯がゆささえ残っているが、そんな雑念を持って今のこいつらとは相手ができない。……それに、今はあれ(・・)を使う事も出来ないのだから。切れない切り札程意味のないものは無い。だが、それでも。

「何を企んでいるのかは想像が付く、が」

 ユーリは剣を、2本目の刃、忍者刀を引き抜く。

「……邪魔はさせてもらおう!」

 そして、二刀を構えた。

「応ッ!!」
「いざッ!」

 ユーリの言葉とほぼ同時に 再び清十郎とリックも構える。

「サテラサマ ノ メイレイハ ゼッタイ!」
「………!!」

 シーザー達も構えた。
 ここからが全力。サテラが別の場所にいると言う事がバレた今、相手もこれまで以上にかかってくるだろう。そして、自分達はこの者達の足止めしなければならない。殺さず足止め。それは、全力で戦い続ける、それよりも遥かに力がいる事だから。

がきぃぃぃぃ!!!!

 異形のガーディアンの拳と人間の刃。

 その二つの武器が再び交差し合う。

 第2ラウンドの始まるのだった。

















〜レッドの町・解放軍司令部 1F〜

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