くらすちぇんじ・まりあさま
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
か。『刻まれし記憶、綴られし想い。時空を越えて留めた、その容。籠められたすべてを、己の思考の糧として、己の言葉と語る姿に、成れ!』」
「えっ!?」
「はあ!?」
『言霊』がとんでもない力だとは、私を具現させた時点で解ってたけど。
まさか、本のような物体を可動体に変容させられるとは思ってなくて。
私もベゼドラも、フィレス様の言葉に肝を引っこ抜かれた。
そして、ぽんっ! と軽い音で変身したのが
「みゃ?」
トカゲにも鰐にも似た黄金色の体に蝙蝠みたいな羽根を備え、頭頂部から首筋まで伸びる金色の鬣をふさふさと揺らす、二足歩行も可能な卵型の、丸っこいゴールデンドラゴン。
ちなみに、彼の姿を見た瞬間のリースリンデは、花園の中を絶叫しながらすごい勢いで逃げ惑ってた。
「表紙の感触からして、何らかの生き物の皮を利用しているのだろう、とは思ってましたが、これは……ドラゴンの子供でしょうか? 可愛いですね」
あ、そうか。表紙の皮。
元生物だったから、『言霊』が通用したのね。
と、納得していたら。
ベゼドラが「可愛いか? ただのデブだろ、これ」と言って、思いっきり頭に噛みつかれてた。
「みゃいみゃ」
自らで考え、動き、声を発するようになった元日記は。
私と目が合うなり、肩に飛び乗って頬を寄せてきた。
「え? ああ、ティーの日記。籠められたすべてを語ると言ってましたね。やっぱり、私のことも書いてあったのね? だから私の名前を知って……」
「「「え?」」」
「え?」
一同に不思議なものを見る目で首を傾げられた、その理由はとても単純。
彼の……竜族の言葉は、私以外の誰にも理解できなかったらしい。
「にょにょにょうににょみゅみゃみゃにゃみゃ、にゃえみょにゃにゃみゃえみゃにょにゃにゃ」
「私だって、今は何もできないわ。でも、ベゼドラが頑張ってくれてる間にいろいろ考えておかなきゃ」
本当なら私が背負う筈だった役目を、後世の人間に押し付けてしまった。
せめて、私にもう少し力が残っていれば、違ってたかも知れないのに。
「あの、聖天女様? それなんですけど……あんな作戦で本当にアリア様が現れてくださるんでしょうか? 仮に現れるとしても、魔王レゾネクトだけなんじゃないかと思うんですが」
ベゼドラがこれからすることは、一応リースリンデにも話してある。
ずっと心配そうな顔をしてたのは、この作戦のせいだったのね。
「それで良いのよ。むしろレゾネクトが現れてくれないと困るわ。その為にベゼドラを酷使するのだから」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ