激戦
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にかする事すら出来ていなかった。理由は単純、ラタトスクには異次元転移がある。異次元空間の向こうに隠れている間に、彼女の魔法が通り過ぎて消滅し、その後にこちらに戻って来るという反則じみた回避をされているのだ。
「夫に続いて……クロノまで失う訳にはいかない!! クラッシュバスター!!」
「フフ、どこを狙ってるんですか? わたくしはここですよ?」
「卑怯者! 正々堂々と戦いなさい!!」
「おやおや、随分上からの物言いですね。言えばその通りに応じるとでも本気で思っているのですか?」
「くっ……!」
「あなたの弱点は既にわかっています。知り合いや身内とみなした者にはとことん甘くなる性格……それはかつて夫のクライドを失ったトラウマによるものでしょう? あの喪失感を二度と味わいたくないから、そうやって自分が守れる場所に抱え込もうとする。なのにそれが傷つけられた時、心の奥から過剰な恐怖があふれ出す。ええ、実に人間らしい独善じみた本質ですよ」
「ッ……黙りなさい!!」
「そう謙遜しなくても大丈夫です。あなたの本質はむしろ善に偏っている、人間としてまともであると言い表せるでしょう。しかし……」
突然、透明になって姿を消したラタトスクは、先程まで居た場所に黒い影を形作った。その影を見た瞬間、思わずリンディさんは攻撃の手が止まってしまう。なぜなら影の形は、クロノ君そのものだったのだから。
「だからこそ、付け入れられる隙がある。そこにいるあなたの大事な息子を、あなたは攻撃できますか?」
「馬鹿にしないで。今私の腕の中に居るのが本物だってわかってるのに、影を出して動揺させようだなんてそうはいかないわ。そんなまがい物、さっさと消し飛ばしてあげる!!」
本物のクロノ君に一度目を移したリンディさんは、影のクロノ君に向けて砲撃魔法を撃った。影は何の抵抗もせずにその場に浮かんだままだけど、ヒトを苛立たせる事に関しては容赦がないラタトスクが、ただ動揺させるためだけに影を生み出したとは考えにくい。そしてその答えは、影に砲撃が直撃した瞬間、本物が苦痛を訴えた事で判明した。
「うぐぁああああ!!」
「クロノ!? ど、どうして……私が撃ったのは影なのに……まさかッ!?」
「理解が早くて何よりです。そこの影が受けたダメージは即座に本物へフィードバックされます。つまり影に攻撃するという事は、本物を攻撃するのと同じ意味なのですよ」
「な……!?」
「あなたはしばらく影と遊んでいなさい。わたくしは特等席でこの舞台を楽しませてもらいます。アハハハハ!!」
「ラタトスク……なんて卑怯な真似を!」
リンディさんの憤る気持ちは私達もよ〜くわかるけど、影のターゲットはどうやら彼女達らしい。傷つけたら駄目だという
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