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ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
キノガッサという男
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た。これは先ほども使った技、オーバーヒートだ。使うと特殊攻撃力が下がり二度目の威力は減少するはずだが、何をするつもりなのか。
 そしてついに状況は動いた。苦しそうに溜めていた口のエネルギーが暴発したのだ。
 未完成と言っていた。失敗してしまったのか。しかしそんなキノガッサの心配は一瞬にして無に帰される。
 暴発したエネルギーをカエンジシは被った。自分の技を浴びたのだ。勿論ダメージは入っているはず。しかし、ダメージを受けつつもそのオーバーヒートの塊は徐々にニトロチャージの炎に吸収されていく。黄色の炎を濃縮された紅に変わった時、それは技の完成を意味した。

「出せる炎に限界があるなら複数の技を組み合わせて合体させればいい。理屈ではわかっていても厳しかったテクニックだが、うまくいったようだな」

 成功した訳、つまりはフラダリに答えたカエンジシの覚悟もまたすごいものだったということだ。

「カエンジシ……行くぞ。ニトロチャージ!!」
「グォオオオォォォオン!!」

 百獣の王の咆哮をあげ、足に集中していた筋力を解き放った。
 これまでにない凄まじい勢いにまとった紫炎の威力。似た技にフレアドライブというものがあるが、それに勝るとも劣らない見事な威力だった。
 それを前にキノガッサは揺るがない。きあいパンチは集中が途切れれば一瞬で威力が霧散する。わかっているからこそ、冷静に目で一挙一動を捉えていた。

 ーーここだ。

 残り数メートル。
 誰もが早いと思った。
 早計すぎると悟った。
 明らかに命中する距離ではない。

 ただその拳は全ての者がとらえきれないスピードで振りぬかれた。

 音はない。置き去りにしていたからだ。
 ただ唯一感じ取ったのは一陣の風。あまりにもゆっくりと感じられたその刹那、スローモーションに流れる視界の中でカエンジシだけは悟っていた。
 自分の身体が空中に投げ出されていることに。

 数メートルの距離なんて無かったかのような圧力がカエンジシを貫いたのだ……とフラダリが悟るころには、大規模な破壊がキノガッサの前方に起こっていた。
 天井が吹き飛び、壁に穴が開く。到底右手一本では起きえないはずの天変地異。
 以前ユウキが使うのをやめようと決心した技に『はかいこうせん』がある。その威力はゲーム換算で150。そしてきあいパンチの威力もまた150だ。つまりそのはかいこうせんと同等の威力を持った拳。
 振りぬけばその威力は無秩序に前方へ放出される。空気を押し込み周囲を崩壊させるのだ。

「くっハハハ!これほどとはな」

 あまりの風圧に後ろに吹き飛ばされながらフラダリはその恐ろしさを確認した。野望の最大の障害になるユウキとそのポケモンの強さを。
 そして、次は組織の全てでもって挑む
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